研究課題/領域番号 |
15390400
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 佐賀大学 (2004-2005) 佐賀大学(医学部) (2003) |
研究代表者 |
宮崎 耕治 佐賀大学, 医学部, 教授 (30159173)
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研究分担者 |
北島 吉彦 佐賀大学, 医学部, 講師 (30234256)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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キーワード | MGMT / hMLH1 / DNA修復遺伝子 / アルキル化抗癌剤 / 消化器癌 / 個別化治療 / CHFR / DPD |
研究概要 |
アルキル化剤に対する修復遺伝子(MGMT)とミスマッチ修復遺伝子(hMLH1)発現欠失は、種々の癌においてみられる。本研究は、消化器癌を対象にMGMT, hMLH1遺伝子の発現プロファイルに基き、アルキル化抗癌剤への感受性を予測し、個別化抗癌剤治療を構築することを目的とした。 1(平成15年度)胆道癌細胞株を用い、MGMT/hMhH1発現とアルキル化抗癌剤との感受性比較を解析した。MGMTとhMhH1の発現パターンにおいてMGMT(-)/hMLH1(+)を示す胆道癌細胞は、MGMT(+)/hMLH1(+)株、MGMT(-)/hMLH1(-)株に比し、アルキル化剤MNUに顕著な感受性を示した。また、ヌードマウス皮下腫瘍に対してもMGMT(-)/hMLH1(+)株はアルキル化抗癌剤DTICに高感受性を示し、MGMT/hMLH1発現パターンに立脚した個別化癌化学療法が臨床応用可能であることを立証した。さらに、低濃度シスプラチンがMGMT遺伝子発現を転写レベルで抑制することを見出し、MGMT(+)の癌をアルキル化抗癌剤感受性癌へと変換させる新たなbiochemical modulation療法のモデルも考案した。 2(平成16年度)臨床応用への一貫として、胆道癌組織におけるMGMT遺伝子メチル化をメチル化特異的PCRにて解析、MGMTメチル化がMGMT発現低下と正相関を示すことを解析した。この知見はMGMTメチル化が胆道癌の悪性度の指標となるだけでなく、アルキル化抗癌剤感受性マーカーとして臨床応用できることを示唆した。 3(平成17年度)hMLH1(-)胆道癌が塩酸イリノテカンに高感受性を示す事を従来の感受性試験で解析し、hMhH1siRNA導入実験にて直接証明を行った。これにより個別化に応用できる選択薬剤の選択肢を増やした。一方では、5FU感受性を左右するDPD遺伝子が胆道癌細胞株においてエピジェネテイック機序によるサイレンシングを受けることにより5FUに高感受性を示すことを立証した。さらに胃癌においてはCHFR遺伝子メチル化とタキサン系抗癌剤への感受性が正相関することをも明らかにした。これらの知見はさらなる感受性マーカーの発見へと繋がった。 今後は、薬剤感受性を左右するこれらの遺伝子の発現やメチル化を癌患者の切除組織を用いて解析し、個別化抗癌剤治療の実現に向け、本研究をさらに押し進めていく予定である。
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