研究課題/領域番号 |
15390401
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大分大学(医学部) |
研究代表者 |
北野 正剛 大分大学, 医学部, 教授 (90169871)
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研究分担者 |
猪股 雅史 大分大学, 医学部, 講師 (60315330)
白石 憲男 大分大学, 医学部, 助教授 (20271132)
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キーワード | 腹腔鏡下手術 / 消化器癌 / 血行性肝転移 / 腹膜播種 / リンパ節転移 |
研究概要 |
1.血行性肝転移に対する気腹の影響に関する研究 マウス大腸癌細胞株を脾注し、その後、気腹群、開腹群、麻酔のみのコントロール群にわけ、肝転移形成率、腫瘍径、転移結節数、肝重量を評価した。結果は、気腹群はコントロール群と比較して、転移結節数が有意に多かった。また、気腹、開腹、麻酔のみの各群から経時的に肝臓を採取して、mRNAを抽出、RT-PCR法にて、接着分子のひとつであるICAM-1の発現を検討した。その結果、気腹群では、処置後1日目において、ICAM-1 mRNAの発現が他群に比べて亢進していることが示され、気腹による肝転移増強効果の一因として考えられた。この結果については、現在投稿準備中である。 2.腹膜播種に与える気腹の影響 (1)腹腔内局所免疫に与える気腹の影響 気腹、開腹、コントロール群において、経時的に腹腔内洗浄液および脾臓を採取してリンパ球サブセット、NK細胞数、NK活性を検討した。その結果、気腹群では開腹群と比較して細胞性免疫が保たれていた。これより、腹腔内悪性腫瘍に対しては、腹腔鏡下手術は開腹手術に比べて腫瘍免疫の観点から有用な術式と考えられた。(Surg Today 2003) (2)癌細胞盲腸逢着モデルを用いた腹膜播種に与える気腹の影響 気腹群は開腹群と比べて、腹膜播種結節におけるVEGF mRNA発現が低下していた。増殖因子<b-FGF、HGF、c-met>の発現には差がなかった。この結果について、現在投稿準備中である。 (3)腹膜進展による腹膜中皮に与える気腹の影響 現在、培養が比較的容易なマウス大腸癌細胞株を用いて予備実験を行っている。培養細胞伸展装置により実際の気腹した場合の腹壁と同程度の伸展を行い、培養上清中の増殖因子を測定したところ、EGF、HGF、c-metのmRNA発現が誘導された。今後はヒト腹膜中皮細胞での検討を行う予定である。
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