研究分担者 |
高尾 尊身 鹿児島大学, フロンティアサイエンス研究推進センター, 教授 (80171411)
中條 政敬 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20041379)
夏越 祥次 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (70237577)
中条 哲浩 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (20404486)
|
研究概要 |
1、昨年度に引き続き、免疫染色とRT-PCR法による上部消化管癌に対するリンパ節の微小転移診断を行い、SN(Sentinel node)conceptの検証を行った。特に今年度は、食道癌におけるSNConceptの検証を国内で初めて多数例の解析を行った。 食道癌:術前診断T1-3の食道癌91例の切除症例である。その内訳は、cT1:31例、cT2:20例、cT3:29例であり、このほかにChemo-radiation(CRT)症例11例である。術前のリンパ節転移に関しては、cN(-):52例、cN(+):39例である。方法は、昨年報告した99mTc-Tin colloidを用いたRI法である。微小転移の検索は、胃癌での方法に準じて、Cyto-Keratin(CK)の免疫組織学的検索に加え、CEAをprimerとするRT-PCR法を採用した。 その結果、以下の知見が本研究において得られた。 1)SNの検出頻度は、cT1:87%,cT2:95%,cT3:86%であったが、CRT症例ではわずか27%であった。 2)SNの平均個数は、CRT以外では平均2.5個であった。CRT症例では平均1.5個と検出個数も少数であった。 3)SN mappingでは、accuracyはcT1:100%、cT2:82%、cT354%であり、食道癌においてはcT1の症例にSNNSが臨床応用可能であることが明らかとなった。 4)対象症例におけるリンパ節転移の実態は、1例をのぞいて27例全例において、SNに微小転移を含め存在した。False negativeの症例は術前に超音波内視鏡検査にてリンパ節転移を術前に指摘し得たcT1,cN1,M0,StageII Bの症例であった。 *結論:SN conceptは、食道癌でも臨床応用可能であるがcT1,cN0が対象であり、術前・術中のリンパ節転移が重要であることが判明した。 2、リンパ節転移の微小転移診断と臨床的意義に関する基礎的・臨床的研究 微小転移の臨床的意義に関しては、未だ意見の一致をみていない。そこで今年度の研究において、HE染色、CK染色、RT-PCR法によるリンパ節転移診断を行い、分子生物学的特性について検討を行った。 その結果、以下の知見が得られつつある。 1)免疫染色、PCR法による新たな迅速術中リンパ節転移診断法(40分)を確立した。 2)Isolated Tumor CellにおいてもKi67免疫染色法にて増殖活性能が存在することを明らかにできた。 今後、RT-PCR陽性症例を含めた微小転移の臨床的意義についての検証が不可欠である。
|