オリゴマイクロアレイを用いた網羅的肺癌細胞特異的スプライシング遺伝子群の同定

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15390407
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 佐藤 雅美 東北大学, 加齢医学研究所, 助教授 (30250830)
• 研究分担者: 遠藤 千顕 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (80333813) ; 近藤 丘 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (10195901)
• キーワード: 肺癌 / 細胞株 / マイクロアレイ / スプライス

研究概要

本年度はオリゴマイクロアレイによる新たな解析アルゴリズムの開発とその試験的運用を行なった。
試験的に6500の遺伝子に関して、1遺伝子あたり20部位のプローブに関してその蛍光シグナルを計測し、肺癌細胞にのみ特異的に発現が減少している部位を検索した。
さらに、それらの遺伝子について、既知のデータベースと比較することにより、既知のalternative splicingが検出されていることを確認した。すなわち、本法により、alternative splicingを効率よく検出しうることを確認した。
現在、さらに検討する遺伝子数を10000個まで増やし、蛍光シグナルを計測し、これをグラフ化することで可視化した。すでに、ハイブリを終了している。
42種の肺癌細胞株と他臓器癌細胞株の発現パターンを解析アルゴリズムを用いて、新たなalternative splicingを比較抽出している。また、シークエンスにより、alternative splicingの部位、パターンの確認作業を開始している。さらにsplicingの背景にあるgemomic DNAレベルの変化についても検討を行った。一部の遺伝子に関しては、塩基レベルでの変異がalternative splicingの背景にあることが確認された。これらのalternative splicingが肺癌細胞のみに見られた場合と肺癌を含む他臓器癌でも見られた場合とで比較を進めている。さらにこれらのalternative splicingを含むcDNA全長の単離にむけてcDNA liblaryを作成した。これらcDNA全長を細胞内に導入し、癌細胞の増殖曲線やapoptosisなどの変化の可能性を検討予定である。

研究成果

• [文献書誌] Wu S, Sato M, Endo C, Kondo T, et al.: "hnRNPB1 protein may be a possible prognostic factor in squamous cell carcinoma of the lung, Lung Cancer"Lung Cancer. 41. 179-186 (2003)
• [文献書誌] Sato M, Endo C, Kondo T, et al.: "The Natural History of Radiographically Occult Bronchogenic Squamous Cell Carcinoma : A Retrospective Study of Overdiagnosis Bias"Chest. (In press).
• [文献書誌] Nakamura Y, Sakurada A, Sato M, Endo C, Watanabe S, Kondo T: "Directions of metachronal waves in large bronchi are different between hum an beings and quadrupeds"J O Bronchology. (In press).
• [文献書誌] Oyaizu T, Okada Y, Shoji W, Matumura Y, Shimada K, Sado T, Sato M, Kondo T: "Reduction of recipient macrophages by gadolinium chloride prevents development of oblierative airway disease In a rat model of heterotopic tracheal transplantaion"Transplantation. 76. 1214-1220 (2003)
• [文献書誌] Takahasi H, Sagawa M, Sato M, Sakurada A, Endo C, Kondo T: "A prospective evaluation of transbronchial ultrasonography for assessment of depth of invasion in early bronchogenic squamous cell carcinoma"Lung Cancer. 42. 43-49 (2003)
• [文献書誌] Kato H, Furukawa K, Sato M, Okunaka T, Kusunoki Y, Kawahara M, Matusi K, Shiraishi T, Horinouchi H: "Phase II clinical trial of photodynamic therapy using mono-L-aspartyl chlorine e6 and diode laser for early superficial squamous cell carcinoma of the lung"Lung Cancer. 42. 103-111 (2003)
• [文献書誌] 佐藤雅美他: "EBMの手法による肺癌診療ガイドライン"EBMの手法による肺癌の診療ガイドライン策定に関する研究班. 176 (2003)