研究概要 |
新生児開心術時における心筋保護法の開発を目指して、平成15年度にLangendorff灌流を用いた新生家兎摘出心の虚血再灌流実験を行った。未熟心筋の虚血再灌流障害発生に対するNa^+/H^+交換機構とNa^+/Ca^<2+>交換機構の関与を評価する目的で、Na^+/H^+交換、Na^+/Ca^<2+>交換阻害剤であるAmilorideの虚血灌流障害に対する保護効果を検討した。臨床に広く使われるSt.Thomas液心筋保護液による37℃45分虚血再灌流と20℃180分虚血再灌流を対照として、Na^+/H^+交換阻害剤であるAmiloride(0.01、0.1,1mM)をSt.Thomas液に添加してその心筋保護効果を検討した。 【結果】 新生家兎の左室に挿入したバルーンによる左室圧(LVDP)、その時間微分(±dp/dt)を測定し、St.Thomas液注入による37℃45分虚血後再灌流後60分のLVDP、±dp/dt回復率、CK遊出量を測定した(対照群)。St.Thomas液にAmilorideを0.01mM,0.1mM,1mM添加しその保護効果を対照群と比較検討した。対照群のLVDP、+dp/dp,-dp/dp,CK遊出量は50.7±4.0% 44.6±7.1% and 54.7±6.9%,67.7±7.8 IU/ dry weightだった。 Amiloride 0.01mM,0.1mM,1mM添加のLVDP回復率は84.1±4.4%,77.2±2.7%,78.3±3.0%だった。CK遊出量は15.2±4.5 at 0.01mM,22.4±6.2 at 0.1mM,28.5±4.8でAmiloride添加により、LVDP、±dp/dt回復率±CK遊出量とも改善された。未熟心筋の虚血再灌流障害発生にNa^+/H^+交換機構、Na^+/Ca^<2+>交換機構が深く関与していることが示唆された。 今後より臨床の状況に近い低温虚血(20℃180分)再灌流実験を行う予定である。
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