研究課題/領域番号 |
15390408
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上田 裕一 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80314011)
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研究分担者 |
秋田 利明 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (30167837)
碓氷 章彦 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (30283443)
児玉 逸雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (30124720)
安井 健二 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (70283471)
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キーワード | 糖代謝 / deoxyglucose / glibenclamide / 未熟心筋 / 心筋保護 / I_<KATP> channel |
研究概要 |
【目的】新生児開心術時における心筋保護法の開発のため、未熟心筋の虚血再潅流傷害発生機序を解明すること。未熟心筋で活性の高い解糖系の虚血再潅流傷害に対する関与を評価した。【方法】生後3から5日の家兎摘出心のLangendorff灌流を用いて、虚血再潅流実験を行った。左室内バルーンによる発生圧により心機能の評価を行い、20℃180分のSt. Thomas液による心筋保護心停止の後30分間の再灌流を行った。解糖系を賦活する目的でglucose(5mM),阻害する目的で解糖系の競合阻害剤であるdeoxyglucose(5mM)を心筋保護液に添加し、心機能の回復、CK遊出量、再潅流後の冠潅流量の推移、冠静脈液中のLactate/pyruvate値、虚血終了時の組織ATP、 ADP、AMP値、Lactate/pyruvate値を測定し対照群と比較検討した。【結果】再潅流30分後の心機能は対照群、glucose添加群、deoxyglucose添加群で各々72.7+3.3%、58.9+3.9%、96.3+1.4%で、15分間の総CK遊出量は41.5+13.0、*40.0+5.3、18.9+4.5だった。細胞内のredox stateを反映するlactate/pyruvate比は各々23.3+1.2、36.9+4.4、17.3+3.8だった。冠潅流量は対照群とglucose添加群で有意差は無かったが、deoxyglucose群で有意に多かった。Deoxyglucoseで認めた心筋保護効果はI_<KATP> channel blockerであるglibenclamide(1μM)の心筋保護液への添加により消失した。【考察】未熟心筋は解糖系の活性が成熟心筋にくらべ高く、低酸素に対してより耐性を示すとされるが、心筋保護下心停止に対しては解糖系の賦活は保護的には作用せず、解糖系の抑制がむしろ保護的に作用した。その保護効果は冠動脈と心筋のI_<KATP> channelの活性化を介していることが示唆された。
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