1)心尖部温存左室縮小術の臨床的検討. 平成15年4月より平成17年2月までに行った当院にて施行した左室形成術は22例、拡張型心筋症7例・虚血性心疾患15例.緊急症例4例・待機症例18例で術後に失った症例は3例(緊急1例・待機2例)であった.更なる症例を重ね、左室形成術の有効性に対する詳細な検討を行っていく必要がある. 2)心筋症モデルでの肝細胞増殖因子(Hepatocyte growth factor : HGF)徐放シートの有効性の検討. ルイスラットに抗ブタミオシン抗体を誘導することによって自己免疫性心筋炎を発症させ、6週間後にDCM様に拡大した拡張型心筋症モデルを作製した.我々の左室形成術ラットモデルに準じて左室形成術を行い、自由壁にHGF含有ゼラチンシートを接着したラット(A群)とHGF無しのラット(B群)を2週間後に比較するとA群は有意にLVSdは小さく、収縮力の改善が認められ、組織学的評価から心筋の繊維化組織面積も有意に低かった.更に心筋梗塞ラットモデルを作製し、胎仔心筋細胞を移植した後、HGF含有シート群(A群)を表面に置いたものとHGF非含有シート群(B群)を置いたものを2週間後に比較すると、A群はB群に比べて、LVDdが有意に小さく、左室内腔面積変化率は大きく、E-Maxも有意な増加がみられた.また、組織学的な評価では、移植細胞は梗塞層全域に見られたが、B群では中央部にのみ見られたのみであった. HGF徐放シートの細胞に対する更なる有効性とHGF徐放シートの左室形成術部位への生者は再拡大抑制効果が十分に認められ、DCMに対する左室形成術の有効性を促進するものと考えられた.現在は更なる大動物への応用を行っているところである.
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