研究概要 |
<HLA-Ib>HLA-G1とEとの間で種々のhybrid分子を作製し発現を検討した。 まず各ドメインの置換体を作製したところα2ドメインが重要であることが判明。一方、α3ドメインや膜貫通領域の置換体はほとんど発現に影響しなかった。 次にHLA-Eのα2ドメイン内に点変異を導入した。HLA-E分子の147番目のアミノ酸をセリンからシステインに変換すると発現が大きく増加し、NK細胞依存性細胞傷害を効果的に抑制した。 さらに、147番目以外に11、66番目の置換体でもHLA-E分子の高発現を得た。しかし、147にこれらを加えた(11,147),(66,147),(11,66,147)遺伝子を合成し、CHO細胞やブタ血管内皮細胞株を作成し、NK細胞制御効果を検討したが、これらの置換体では147の単独置換体に劣っていた。 <補体制御因子>delta-SCR1-DAF、d-SCR2-DAF、d-SCR3-DAF,d-SCR4-DAFを作製、ブタの血管内皮に遺伝子導入した。d-SCR2-DAF、d-SCR3-DAFは補体、NK細胞の両方に抑制効果を示さなかった。d-SCR4-DAFは補体抑制作用を示したが、NK細胞は抑制しなかった。NK細胞上にDAFに対するレセプターの存在が示唆された。 <FasL>I型でかつ、血清中の酵素切断部位より上方のFasLとHLA-G1のTM部分をつなぐcDNAを合成し、pCXに構築した(PCX-FasL-TM)。CHO細胞およびブタの血管内皮(PEC)に遺伝子導入し発現させたところ、NK細胞にapoptosisを誘導し、NK細胞依存性細胞傷害に対し抑制効果を示した。 <糖鎖変換>NK細胞がα-Gaを認識しないとの報告が出たので、これを検証した。ブタの血管内皮より、pig-α1,3GT遺伝子をcloningした。K562細胞にHLA-G1を遺伝子導入し、NK細胞の反応性を落としたK562を作製した。次にこれに、pig-α1,3GT遺伝子を導入した。 このK562細胞は、αGalの発現量が高くなるに連れ、NK依存性細胞傷害性も対照群より有意に上昇した。上昇した傷害性はGSIB4や関連糖鎖によって有意に抑制された。これにより、NK細胞上にαGalエピトープを認識するレセプターの存在が示唆された。
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