研究概要 |
交付申請書に記載した本年度研究計画(番号同一)に基づき、下記の結果を得た。 1.昨年度作製したB7.1,B7.2,ICOSL, PDL1,PDL2発現アデノウイルスをMOI3-100でHeLa細胞に感染させ、導入蛋白が細胞表面に発現するかをFACSで解析したところ、いずれの蛋白もMOI3で70-80%,MOI30以上で95%以上の細胞に蛋白発現が認められ、作製したウイルスが機能上も問題ないことを確認した。 2.PDL1,PDL2アデノウイルスを用いて、in vitroの感染でCAR transgenic miceのT細胞に各々の蛋白が発現誘導されるか否かを検討した。発現は弱かったが、正常マウスでは不可能な発現誘導が、CAR Tg T細胞を用いることで可能であった。ただし、発現誘導にはMOI100以上と高濃度のウイルス感染が必要であった。偶然、脾臓中のCD11c陽性細胞に、MOI100以上で30-40%の効率でアデノウイルス感染が可能であることを発見した。 3.GFP発現アデノウイルスをマウスに投与すると、脾細胞中のCD11b, CD11c陽性細胞の一部にGFPタンパク質が一過性に発現することを見いだした。しかし、CARマウスを用いてもIn vivoでT細胞に遺伝子導入を行うことは困難であった。 4.マウス個体にアデノウイルスを投与した場合に産生されるウイルス抗体価を指標にして、PDL1またはPDL2発現アデノウイルスが免疫抑制あるいは感作抑制作用があるか否かを現在検討している。 概ね予定通りの進行であったが、PD-1ligandの免疫抑制作用は、あるとしても弱いものである事が示唆されつつあり、これは最近の海外での報告と一致する。本研究のもう一つの目的である梗塞心への筋芽細胞移植法の確立も平行して進めている。
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