研究概要 |
胸部大動脈瘤手術中の脊髄虚血障害の術中迅速診断法と脊髄虚血障害防止法の確立のために、前年に引き続き、以下の動物実験と臨床試験を行った。 動物実験 (1)成犬を用いた脊髄虚血障害モデルの完成:脊髄虚血障害が確実に出現するビーグル犬を用いた脊髄虚血障害モデル作成法を完成した(Surg Today, in press)。脊髄誘発電位(運動誘発電位、知覚誘発電位)を用いて冷却生食水注入により、脊髄誘発電位の早期変化が得られ、脊髄障害軽減効果のあることを確認した。 (2)家兎を用いた脊髄虚血障害モデルの作成:脊髄虚血障害がより短時間で明瞭に出現する家兎を用いた脊髄虚血障害モデルを作成し、脊髄の単純冷却(冷却生食水注入)、神経節遮断剤(プロポフォール)注入による脊髄保護効果を確認した。 (3)脊髄冷却パッドの改良と権利化:脊髄冷却パッドを試作して、より冷却効果の高い保冷剤とこれを包むビニール包装の工夫を行い、地場企業とともに特許出願(特願2004-344731)した。 臨床試験 胸腹部大動脈瘤手術例において、遮断した大動脈瘤内に冷却血液を注入して脊髄運動誘発電位の一過性低下を確認して、責任肋間動脈の局在診断と迅速な再建に役立てた。
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