研究課題/領域番号 |
15390427
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
田中 達也 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20108715)
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研究分担者 |
程塚 明 旭川医科大学, 医学部, 講師 (00229204)
櫻井 寿郎 旭川医科大学, 医学部, 助手 (30301998)
橋詰 清隆 旭川医科大学, 医学部, 講師 (00250580)
中井 啓文 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (20142820)
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キーワード | カイニン酸 / 大脳基底核 / 視床下核 / 深部脳電気刺激 / てんかん発作 / ムシモール |
研究概要 |
てんかんの難治化に大脳基底核がどのように関与しているのか研究するために、焦点てんかん発作重積モデルの大脳基底核回路網を機能的に抑制し、発作に及ぼす影響を検討した。 実験I : Wistarラットの一側の大脳皮質にカイニン酸を注入して、焦点発作重積を誘発した。発作が安定して出現するようになってから、両側の視床下核に定位的に刺入した双極電極を、130Hzで電気刺激したところ、発作重積が抑制されることを明らかにした。さらに、14C-deoxy glucoseを用いたオートラジオグラフィーを行ったところ、コントロールに比較して、焦点発作の発作減弱と反対側大脳皮質への、発作伝播の抑制を認めた。この結果は、平成15年10月に、ポルトガルのリスボンで開催された、第25回国際てんかん学会にて発表し、大きな反響を得た。 実験II : Wistarラットの一側の大脳皮質にカイニン酸を注入して、焦点発作重積を誘発した。両側の視床下核にムシモールを注入して、両側視床下核の機能を抑制したところ、脳波上の焦点発作重積が抑制された。この事実から、視床下核を抑制系のGABAで不活化すると、淡蒼球と黒質を結ぶ機能的な神経回路が変化して、発作が抑制されることを明らかにした。 この研究は、薬物治療に抵抗し、しかもてんかんの焦点切除手術が不可能な難治性てんかんの症例に対する新しいてんかん治療として、光明を与える可能性がある。発作抑制の機序としては、視床下核の機能的な抑制が、大脳基底核のてんかん促進回路を抑制したために、発作重積状態が減弱されたと考えられる。以上の結果を踏まえて、来年度は、大脳基底核の諸核にカイニン酸を注入して大脳基底核の過剰興奮を誘発させ、大脳基底核の回路網への影響を検討する予定である。
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