研究課題/領域番号 |
15390429
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
石内 勝吾 群馬大学, 医学部, 講師 (10312878)
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研究分担者 |
小澤 瀞司 群馬大学, 医学部, 教授 (40049044)
齊藤 延人 群馬大学, 医学部, 教授 (60262002)
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キーワード | 神経膠芽腫 / 浸潤性増殖 / シグナル伝達機構 / グルタミン酸 / AMPA拮抗薬 |
研究概要 |
平成15年度の神経膠芽腫の浸潤性増殖に及ぼすグルタミン酸を介するシグナル伝達機構のin vitroにおける解析結果概要。 1.グルタミン酸は腫瘍細胞の増殖を促進し、逆にグルタミン酸を培養上清から除去すると細胞分裂能が低下し、アポトーシスに陥る。またグルタミン酸と同時にAMPA拮抗薬を投与するとグルタミン酸を培養上清から除去した群と同様の増殖態度を示しグルタミン酸を介する腫瘍細胞の増殖促進は腫瘍細胞が発現するカルシウム透過型AMPA受容体を介する事が示唆された。 2.組み換えアデノウイルスを用いて腫瘍細胞にカルシウム不透過型(GluR2)及びカルシウム透過型(GluR2Q)遺伝子の強制発現を行い、増殖に重要な役割を果たすAkt at Ser^<473>に対する燐酸化抗体(pAkt)を用いて共焦点レーザー顕微鏡にて解析した。その結果Aktの燐酸化はGluR2の強制発現で抑制され、逆にGluR2Qにより亢進した。 3.さらにGluR2Q遺伝子の強制発現によるAktの燐酸化はwortmannin(0.5-5μM)やLY294002(1-100μM)等のPI3 kinaseの拮抗剤を用いても失活しないことからこのAktの活性化は従来言われているPI3kinaseには依存せず、AMPA受容体を介する新たなシグナル伝達路であることが示唆された。western blottingによるAktの燐酸化の定量解析ではGluR2強制発現ではcontrolの50%に低下し、GluR2Q遺伝子の強制発現では200%に上昇した。 4.GluR2を腫瘍細胞に強制発現させ、さらにAktの構成活性化遺伝子を組み込んだアデノウイルスを同時に感染させると腫瘍細胞の増殖阻害が回避され、さらにGluR2Q強制発現細胞にAktの優性阻害遺伝子を共発現させると腫瘍細胞の増殖は阻害された。 以上より、グルタミン酸がカルシウム透過型AMPA受容体を介して直接に生存のカスケードであるAktの燐酸化を惹起することを証明した。
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