研究概要 |
変異型p53(U251-MG, U373-MG)及び正常型p53(D54, U87-MG)glioma株を用い、p53遺伝子導入と温熱の併用効果を検討した。1)Ad/p53 vectorの至適治療MOIを決定。2)液相による43度2時間加温を使用。3)in vitro治療実験では、全てのglioma細胞株において、両治療併用で相加効果あり。4)細胞周期解析では、U373-MG、D54両者において、温熱単独では変化なし。p53単独ではG1停止とsub-G1増加あり。両治療併用時は、p53単独と同様の効果あり。5)TUNEL解析では、p53単独ではapoptosisが誘導あるも、43度加温単独では誘導されず。両治療併用では、より強いapoptosisが誘導され、加温によるapoptosis増強作用と考えられた。この効果は、腫瘍細胞の内在性p53の状態によらず認められた。6)U373-MG及びU251-MGにおけるapoptosis誘導はカスパーゼ依存性だが、D54ではカスパーゼ非依存性であった。7)サイクリン依存性阻害因子の蛋白発現は、P53遺伝子導入時のみ、P21蛋白の上昇あり。8)in vivo実験として、ヌードマウスU373-MG皮下腫瘍モデルを作成。9)4群にわけて、治療実験を施行。a)control vector(CTR)局所注射+37度加温、b)CTR局所注射+43度加温、c)p53-vector(p53V)局所注射+37度加温、d)p53V局所注射+43度加温。結果は、b〜dいずれの群もcontrolのa群と比し、有意な増殖抑制効果は認めず。今後、加温に関しては、A)加温の反復、B)針電極加温、また、遺伝子導入に関しては、C)tetracyclineによる遺伝子発現制御、D)高い導入効率のリポゾームの使用、などの工夫が必要と考えられた。
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