研究概要 |
#1.atypical teratoid/rhabdoid tumor(AT/RT)について、過去異なる診断が付けられていた脳腫瘍検体がAT/RTと再診断されうるか否か検討を行った。結果、以前epedymomaと診断された症例にAT/RTに特徴的なhSNF5/INI1遺伝子失活が認められるものがあった。他にAT/RTでは細胞周期制御遺伝子であるCyclin D1が高発現していることが確認された。未だ報告の少ないAT/RTに対し、非常に有意義な知見を加えた(文献1)。 #2.髄芽腫において、細胞周期のシグナル伝達に関わるγ-cateninおよびcyclin D1の発現が予後良好の因子であることを見出した(文献2)。 #3.蛋白分解酵素ADAMTS familyのうち、ADAMTS-5が悪性脳腫瘍の神経膠芽腫において高発現していることを臨床検体で確認した。ADAMTS-5は、近年関節リウマチにおける原因因子として発見された基質分解酵素であるが、脳内では脳特有のプロテオグリカンであるbrevicanを分解していることが見出された(文献3)。 #4.脳内への浸潤性増殖を示す神経膠腫の手術時に、Navigation system下に数本のマイクロカテーテルを用いて腫瘍の摘出境界を決定する「fence-post法」を行った42症例に関して、工夫点と有用性を報告した(文献4)。 #5.乏突起膠腫について、1番および19番染色体のヘテロ接合性欠損(以下LOH)の有無に基づいた術後残存腫瘍に対する治療方針について、自件例を元に報告した(文献5)。 #6,2004年11月に開催された「第9回日本脳腫瘍の外科学会」の発表演題から、47編を精選し「脳腫瘍の外科-Biological behaviorにのっとった新しい治療戦略-」を編纂、出版した。(図書)。
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