研究課題/領域番号 |
15390449
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高取 吉雄 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (40179461)
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研究分担者 |
川口 浩 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (40282660)
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 客員助教授 (30344451)
茂呂 徹 東京大学, 大学院医学系研究科, 特任教員 (20302698)
中村 耕三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60126133)
石原 一彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90193341)
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キーワード | 人工関節 / 弛み / osteolysis / バイオマテリアル / ナノテクノロジー / 高分子 |
研究概要 |
人工関節手術は機能を喪失した関節を人工関節に置き換える手術であり、除痛と可動域の改善を獲得する優れた治療法として、股関節・膝関節をはじめ多くの関節で実用化されている。しかしながら手術後10〜15年で生じるとされる弛みは、その長期予後を決定する深刻な合併症である。弛みの主因は、関節面から生じるポリエチレン(PE)の摩耗粉に対する生体の異物反応が惹起する骨吸収である。我々は、関節の弛みを阻止するため、関節面に生体関節軟骨表面と同様のリン脂質構造を構築することを考え、生体適合性リン脂質ポリマー・2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine (MPC)を関節面のPE表面にナノオーダーでグラフトする方法を創出した。そして、この手法が弛みの原因となるPEライナーの摩耗に与える影響、および、MPC微小摩耗粉が骨吸収に与える影響について基礎的な検討を行った。 1)耐摩耗性については、生体の歩行を再現する股関節シミュレーター試験を行った。この結果、関節面の潤滑特性は著明に改善されており、PE摩耗粉の産生も抑制された。また、股関節シミュレーター試験の潤滑液から摩耗粉を抽出すると、MPC群、CLPE群とも、摩耗粉の95%以上はサブミクロンのサイズであり、摩耗粉の粒径分布・形状に明らかな差は見られなかった。 2)マウス頭蓋骨上にMPC微粒子あるいは未処理微粒子を移植し、7日後に骨吸収を観察し、単位面積あたりの破骨細胞数(Oc.N/B.Pm)および骨吸収面(ES/BS)の計測を行った。未処理微粒子を移植した群では破骨細胞が多数形成され、骨吸収が強力に誘導されたが、MPC処理微粒子を移植した群ではこれらが誘導されなかった。また、未処理微粒子を移植した群では破骨細胞数・骨吸収面がコントロール群のそれぞれ5倍、8倍を示したのに対し、MPC処理微粒子を移植した群ではコントロール群と有意な差がみられなかった
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