研究課題/領域番号 |
15390452
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鄭 雄一 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30345053)
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研究分担者 |
川口 浩 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (40282660)
中村 耕三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60126133)
池田 敏之 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (80322759)
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キーワード | 骨 / 軟骨 / 再生 / 胚性幹細胞 / 分化誘導 |
研究概要 |
不可逆的臓器不全に対処すべく生み出された再生医学は、幹細胞の多分化能を利用して臓器を作り出していこうとする新しい医療戦略である。骨軟骨領域においても再生医学を必要とする疾患が数多くあるが、中でも骨粗鬆症や変形性関節症は極めて頻度の高い疾患で、それぞれ人口の10%近くが罹患し、ともに高齢者のQOL低下の大きな要因となっている。骨・軟骨再生の試みは近年盛んであるが、ヒト臨床応用の成功までには種々の障害が存在している。我々は幹細胞の分化誘導と純化の問題に焦点をおいて、最新の分子生物学的手法を用いて解決を試みるものである。具体的には、 1)骨芽・軟骨細胞の分化誘導に十分条件としてのシグナルを分子生物学的手法を用いて明らかにする。 2)上記のデータを応用して、胚性幹細胞(ES細胞)から骨芽・軟骨細胞を効率よく分化誘導し純化する技術を確立する。 3)分化細胞と足場材料を組み合わせて臓器に構成し、骨・軟骨疾患のモデル動物に投与して治療効果を解析する。 最終年度は、3)に重点をおいて、マウスのES細胞を使った研究を行った。至適の条件で分化した骨芽細胞および軟骨細胞様の細胞を、アテロコラーゲンフィルム上に播種して培養し、十分な基質をつくらせ、その基質産生をI型コラーゲン、II型コラーゲンに対する免疫染色や、フォンコッサ染色やトルイジンブルー染色で確認した。 基質が足場材料に十分沈着したところで、骨・軟骨欠損のモデル動物の欠損部に移植した。骨に関しては、マウスの頭頂骨の臨界欠損、軟骨に関しては膝関節の全層欠損モデルを用いた。移植後1,2ヵ月後にレシピエント動物を麻酔後屠殺し、移植部分を固定、包埋、薄切して、組織学的および免疫組織学的に解析したところ、骨および軟骨様の組織の形成が確認された。 以上のように、本研究の課題をほぼ全て達成したと考えられる。
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