研究概要 |
本年度は、当初の計画書に従ってin-vitroで作成したバイオフィルムの定量的計測方法を確立した。 整形外科手術においては生体内インプラントを必要とすることが多く、これらが術後合併する細菌感染症難治化の大きな要因のひとつになっている。そこでは腐骨化した壊死組織あるいはインプラント周囲に形成される細菌バイオフィルムの関与が大きいと考えられる。各種金属表面への細菌付着を想定したstatic culture methodによるin vitroの実験モデルを作成し、細菌の付着状態を観察、それらの経時的変化を追跡した。 実験室内で作成した細菌バイオフィルムに対して、以下の方法でその定量的評価を行なうプロトコールを確立した。 【方法】菌数を調節した黄色ブドウ球菌(strain Seattle 1945)のTrypticase Soy Broth溶液をシャーレに満たし、各種金属製のワッシャーを沈下させる。検体を経時的に順次摘出し、crystal violet液で染色したのちそれらの表面をデジタル実体顕微鏡(VHX-100,Keyence)で観察する。 【結果】画像からパラメータを算定することによって、試料表面に付着する細菌およびバイオフィルムの経時的変化を定量化することができた。 【考察】各種金属表面に形成される細菌バイオフィルムの量を簡便に評価する方法を工夫することによって、それらの形成に及ぼす各種薬剤の影響を検証することが可能である。次年度は本法を用いて、スクリーニングを実施する予定である。
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