本研究計画は、我々が従来から行、ってきた骨組鬆症における網羅的な単塩基多型(SNP)を用いた相関解析による感受性遺伝子多型の固定の試みと並行して、その成果を効率化させるための人口遺伝学的。な情報収集と解析評価を行うものであった。網羅的なSNP相関解析の解析SNP数は、本研究期間中に5千種類に達したが、この中から選ばれた有意相関遺伝子座について連鎖不平衡の解析を行った。解析した12遺伝子座、すなわちビタミンD結合蛋白遺伝子(DBP)、インターロイキン1受容体随伴キナーゼ遺伝子(IRAK1)、腫瘍壊死因子活性化因子結合蛋白遺伝子(I-TRAF)、ゴナドトロピン遊離ホルモン遺伝子(GnRH)、下垂体グルタミンペプチド環状化酵素遺伝子(QPCT)、低比重リポ蛋白受容体関連蛋白5遺伝子(LRP5)、プロオピオメラソコルチン遺伝子(POMC)、白血病阻止性因子受容体遺伝子(LIFR)、アデューシン1遺伝子(ADD1)、骨形成性蛋白8遺伝子(BMP8)、熱ショック70Kd蛋白-1A遺伝子(HSPAIA)、破骨細胞随伴受容体遺伝子(OSCAR)は、先に行ったSNP相関解析で骨密度との有意相 関を示したマーカー多型をもつ遺伝子座であるが、これらの領域内で数個から40数個までの遺伝子多型マーカーを、公的データベースから抽出・選別し、遺伝子座領域における連鎖不平衡の状態を、EMアルゴリズムによるハプロタイプ予測と連鎖不平衡の指標となるD'およびr^2値の評価により判定した。遺伝子座によってはその領域を超えた隣接遺伝子座までの遺伝子多型を追加して解析し、それらの結果から連鎖不平衡の広がりをブロックとして判定するとともに、SNP相関解析の再現性の検定に役立つハプロタイプを決定する代表SNPを、各ブロックから選別した。BMP8遺伝子座においては、重複遺伝子の存在により、遺伝子多型の判定は困難であったが、8キロ塩基対に及ぶ遺伝子座DNAのPCR増幅によるジェノタイピング法を設定した。LRP5遺伝子座については140キロ塩基対におよぶ遺伝子座全長から40個以上のSNPを選んで解析し、二つの明瞭な連鎖不平衡ブロックを固定した。骨組鬆症の発症素因の判定基準となる補正骨密度値との相関解析を独立2群で行うと、スクリーニングにおいて示された、各ブロック内に位置する異なる相関ミスセンス多型のうち、一方のブロック内ハプロタイプにおいてのみ、両対象群で共に有意な相関が示された。
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