研究課題/領域番号 |
15390474
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
上林 卓彦 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10273640)
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研究分担者 |
林 行雄 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (60294063)
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キーワード | 脳神経核 / 遺伝子発現抑制 / 鎮痛 / アドレナージック受容体 / デクスメデトミジン / エピネフリン不整脈 |
研究概要 |
1.デクスメデトミジの作用に対するデコイ型核酸の作用の検討 SDラットに気管内挿管を行い、ハロセン麻酔を施した上でセルレウス核に薬剤注入用の金属針を刺入し、頭蓋骨に固定した。この金属針を介してα2受容体アゴニストであるデクスメデトミジンをセルレウス核内に投与し、鎮痛・鎮静・抗不整脈作用が発現されることを確認した。ラットの神経核内にα2受容体サブタイプに特異的なデコイ型核酸を投与した上で同様の実験を行い、結果を検討した。鎮痛・鎮静・抗不整脈作用ともにデコイ型核酸を投与した群ではデータのばらつきが大きく、その効果に一定の傾向が認められなかった。実験後Laser microdissection法によりセルレウス核の切り出しを行い、RT-PCR法によってα2受容体サブタイプのmRNAの発現量を測定した。デコイ型核酸によりα2受容体のmRNA発現がサブタイプ特異的に抑制される傾向が認められたが、統計学的有意には至らなかった。デコイ型核酸の効果をより効率よくする方法を模索する一方、デコイ型核酸と同様遺伝子発現抑制効果が期待でき、mRNAの立体構造に比較的影響されにくいといわれるRNAiの効果を検討する必要があることが示唆された。 2.イミダゾリン受容体作動薬投与による抗不整脈作用の検討 デクスメデトミジンを始めとするα2作動薬の多くはイミダゾリン受容体(I受容体)も活性化することが知られている。α2作動薬の抗不整脈作用に関わるI受容体の役割を明らかにするためI受容体に対する親和性の異なるα2作動薬の抗不整脈作用を検討し、I受容体のサブタイプであるI1受容体が抗不整脈作用に関係することを明らかにした。従ってデクスメデトミジンの効果のうち少なくとも抗不整脈作用についてはα2受容体のみならずI受容体の関連も含めて検討する必要があることが示唆された。
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