研究課題/領域番号 |
15390476
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
寺崎 秀則 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (30040562)
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研究分担者 |
志茂田 治 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (40187480)
岡本 泰介 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (90191957)
田代 雅文 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (60264305)
今泉 隆志 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (20346977)
杉田 道子 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (70305019)
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キーワード | 脳蘇生 / 心停止 / 軽度低体温 / 体外式心肺補助法 / プロポフォール / ヘパリン / ミダゾラム / 犬 |
研究概要 |
16年度までの計画において、実験的心停止犬(食道温37〜38℃で、ハロセン吸入麻酔中止15分間空気換気後に電気的心室細動15分間実施)に、体外式心肺補助法(extracorporeal lung and heart assist, ECLHA)で血行動態を維持しながら急速に肺動脈血温度33℃の軽度低体温(20時間)を導入し蘇生法を実施した。犬を三群に分け、自己心拍再開時よりミダソラム0.5mg/kg/h、プロポフォール2mg/kg/h、4mg/kg/hをそれぞれ24時間投与した(各群5例)。蘇生開始1週間後のneurological deficit score (NDS %)は、ミダゾラム群19±10%、プロポフオール2mg/kg/h群15±16%、プロポフォール4mg/kg/h群3±4%であった。プロポフォール4mg/kg/h群はミダゾラム群に比較して有意にNDSは改善した。海馬CA1領域の組織学的検討では、プロポフォール4mg/kg/h群では神経細胞の脱落変性が最も少なかった。プロポフォール4mg/kg/h群5例中3例は中枢神経系の後遺症も無く自由に歩行できた(NDS 0%)。この心肺脳蘇生成功は、ECLHAによる血行動態管理、急速低体温導入、プロポフォール持続投与等によるものである。しかし、心停止誘導前後の血液凝固能、血管内血栓形成が重要と思われる。そこで最近の2年間の研究では、心停止前に全血活性凝固時間ACTを400秒以上になるよう全身ヘパリン化を行い、心停止中の血管内血液凝固を防止した。その結果、蘇生後の循環維持に必要なECLHAを数時間で離脱でき、剖検時の心筋壊死も認められなくなった。つまり、心停止前の全身ヘパリン化は、心肺脳蘇生の結果に大きく影響した。
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