研究課題/領域番号 |
15390480
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
|
研究機関 | 生理学研究所 (2004-2005) 岡崎国立共同研究機構 (2003) |
研究代表者 |
柿木 隆介 生理学研究所, 統合生理研究系, 教授 (10145196)
|
研究分担者 |
乾 幸二 生理学研究所, 統合生理研究系, 助手 (70262996)
十時 忠秀 国立大学法人, 佐賀大学・医学部, 理事・病院長 (20038722)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2005
|
キーワード | 痛覚 / 脳波 / 脳磁図 / 機能的磁気共鳴画像 / first pain / second pain / A-delta線維 / C線維 |
研究概要 |
10年程前までは、ヒト末梢神経線維の無髄C線維を上行する信号の脳内情報処理過程を知る事は、極めて稀な臨床例での検査以外ではほとんど不可能に近い事だった。1996年にベルギーの研究者によって画期的な検査法が報告された。皮膚ではA-delta線維やA-beta線維に比べC線維の受容体の数は非常に多い。またC線維の線維の受容体の興奮閾値はA-delta線維の受容体の興奮閾値に比してわずかに低い。彼らはこれを利用して、非常に小さい穴をうがった薄い板を用い、A-delta線維を興奮させる熱量よりもわずかに弱いレーザー光線刺激を用いてその小さな穴を通して皮膚を刺激して誘発脳波を記録したのである。しかし、それは未だpreliminary studyであり記録波形もけして美しいものではなかった。私達はその方法に改良を重ね、ノイズの少ない非常に美しい波形をコンスタントに記録する事に成功した。 この方法を用いる事により、末梢C線維の伝導速度が約1m/秒であること、それに続く脊髄(脊髄視床路)の伝導速度は約2m/秒であることを明らかにした。また脳内ではA-delta線維とほぼ同様に、刺激対側の第1次体性感覚野、両側半球の第2次体性感覚野、島、扁桃体、帯状回が活動する事を明らかにした。 いわゆるsecond pain (burning pain)はC線維を上行する。これは癌痛や、視床痛などの中枢性の頑痛の主要経路である。本研究を発展させていく事により、これらの疾患の除痛に有用な結果を得る事ができることに期待している。
|