研究課題/領域番号 |
15390503
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
野村 誠二 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20242860)
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研究分担者 |
吉川 史隆 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40224985)
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キーワード | オキシトシナーゼ / アミノペプチダーゼ / オキシトシン / 子宮内膜癌 / 絨毛細胞 / 転写因子 / 分化 |
研究概要 |
Placental leucine aminopeptidase(P-LAS)はオキシトシナーゼの本体として、妊娠維持機構における役割については多くの結果が集積しつつあるものの、その他の生理的意義、特に腫瘍との関わりは未解明であった。昨年度までに、婦人科腫瘍の代表である子宮内膜癌において、in vitroではP-LAPの過剰発現が増殖能を亢進させる事や、実際の子宮内膜癌組織におけるP-LAP免疫染色強度が強いものは予後が悪い事を示して来た。本年はこれに引き続き、P-LAP発現が子宮内膜癌患者の化学療法への感受性低下にも相関している事を示し、新たな分子標的治療として、P-LAP阻害剤が子宮内膜癌に対し、単独のみならず、化学療法時の補助治療としても有用である可能性を意味するものであり、その分子機構の解明と共に今後の臨床応用を目指して行く。また、これまでにP-LAPの発現機構解析を通して転写因子AP-2が重要である事を見い出していたが、AP-2は卵巣癌細胞の浸潤を抑制する事を突き止めた。特に、実験動物においてもAP-2過剰発現卵巣癌を移植された場合は、腹膜播種、腹水量が少なく、生存期間も有意に延長する事を示した。こうした結果は、卵巣癌手術検体におけるAP-2発現が予後因子となる可能性を示唆すると考えている。更にP-LAP類縁酵素であるアミノペプチダーゼA(APA)は、子宮頚癌において間質との共存により発現が制御されており、基質であるアンギオテンシンIIの分解を介して血管新生を調節している事を示した。
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