研究課題/領域番号 |
15390507
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
中村 彰治 山口大学, 医学部, 教授 (80112051)
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研究分担者 |
石川 晃教 山口大学, 医学部, 助手 (40363098)
藤岡 隆 山口大学, 医学部, 講師 (50304473)
坂田 義行 山口大学, 医学部, 講師 (10034927)
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キーワード | 低酸素 / 出産 / 活性酸素 / 酸化還元酵素 / zinc diethyldithiocarbamate / 胎児脳 / 脳幹 / 脳性麻痺 |
研究概要 |
本研究は、臍帯を結紮して母体から胎仔への酸素供給を完全に断つと、出産日のラット胎仔では虚血になっているのにもかかわらず、脳幹の酸素分圧は下がらずに逆に上昇するというパラドキシカルな発見のメカニズムを明らかにすることをめざしている。この現象は、"胎児脳が、出産時の産道通過による極度の低酸素・虚血からどのようにして保護されているか"という古くから知られている謎を解明する糸口となるものである.出産日の胎仔でおこる臍帯結紮による脳幹PO_2のパラドキシカルな上昇のメカニズムとして、以下の二つの可能性が考えられる。出産日の胎仔において低酸素状態になると、1.脳幹において酸素が新しく産生される、あるいは2.血液以外の供給源から脳幹に酸素が供給される。今年度は、1.に関連した以下の研究を行なった。 胎仔脳幹でPO_2が上昇するひとつのメカニズムとして、低酸素・虚血により産生される活性酸素種から酸化還元酵素(superoxide dismutase、SOD)の働きによって酸素が新生される可能性を検討した。そのために、臍帯結紮によるパラドキシカルなPO_2上昇が、SODのinhibitorによって阻害されるかどうかを確認した。臍帯を外科用の小クリップで閉塞し脳幹のPO_2が上昇するのを確認した後、SODのinhibitor(zin dethyldthiocarbamate、Wako Pure Chemical Industris, Ltd.)を脳幹局所にインフュージョンした。現時点では、脳幹PO_2の上昇がSOD inhibitorによって阻害される例はない.一方、出産日前後において胎仔脳のSODの発現に変化があるかどうかをimmunoblotで検討した。この実験においても、特に出産日に特徴的にSODの発現が変化するという結果は得られていない。
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