研究課題/領域番号 |
15390509
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
平川 俊夫 九州大学, 大学病院, 講師 (20218770)
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研究分担者 |
尼田 覚 九州大学, 大学病院, 助手 (10294919)
園田 顕三 九州大学, 大学病院, 助手 (30294929)
小林 裕明 九州大学, 大学病院, 助手 (70260700)
和氣 徳夫 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50158606)
加藤 秀則 九州大学, 生体防御医学研究所, 講師 (60214392)
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キーワード | パクリタキセル耐性 / ヒト卵巣癌 / In vivo樹立薬剤耐性細胞株 |
研究概要 |
パクタキセルを主剤とした化学療法後に再発する卵巣癌のより忠実なモデルを確立するため、担癌マウスにパクリタキセルを反復投与することで、ヒト卵巣癌細胞株(OVMG1)からin vivoパクリタキセル耐性株(OM1/Tvivo)を樹立し、その生物学的特徴(染色体分析、増殖・浸潤・転移能の評価、in vivoおよびin vitroにおける薬剤感受性試験と薬物動態)をin vitroで樹立した薬剤耐性株(OM1/Tvitro)と比較した。 In vivo樹立の両株はGバンド法による染色体分析でヒト由来の細胞であることを確認した。培養時の細胞増殖率は同程度であった。In vivoでの腫瘍増殖に関しては、OM1/TvivoはOM1/Cvivoに比し腫瘍増殖能が亢進していたが、OM1/Tvitroは造腫瘍能を失っていた。OM1/TvivoとOM1/Cvivoは、親株のOVMG1と同様に浸潤病巣も転移病巣も作り得なかった。OM1/Cvivoに比べOM1/Tvivoは腫瘍形成時にはマウスへのパクリタキセル投与後の安定した薬剤耐性と低い腫瘍内薬剤到達性を示したが、培養時にはOM1/Tvivo細胞はその双方を消失した。一方、in vitroにおける異常に高い薬剤耐性能と低い細胞内薬剤到達性はOM1/Tvitro細胞にのみ認めた。 これらの結果より従来のin vitro樹立パクリタキセル耐性株よりむしろin vivo樹立バクリタキセル耐性株の方が臨床の再発癌に認める亢進した悪性度を反映した、より適切で忠実なモデルであることが示唆された。このin vivoで特異的に発現する薬剤耐性機構には、腫瘍細胞自身の感受性の変化のみならず腫瘍と宿主間質組織間の相互作用が関与していると思われた。
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