研究課題/領域番号 |
15390515
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中島 務 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30180277)
|
研究分担者 |
曾根 三千彦 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30273238)
藤居 仁 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (70133775)
|
キーワード | レーザー / レーザードップラー / レーザースッペクル / 蝸牛 / 血流 / 耳硬化症 |
研究概要 |
作製したレーザードップラーフローグラフィー装置を用いラット前下小脳動脈、アブミ骨動脈の血流評価及びヒト蝸牛耳硬化症例における鼓膜、鼓室の血流評価を行った。臨床例については倫理委員会の許可を得てから行った。 ラットでは前下小脳動脈、アブミ骨動脈の拍動様式を評価した。内耳の近くにいくほど拍動の大きさが小さくなっていくことが観察された。この現象は内耳で拍動性の音をできるだけ聞かないようにするメカニズムと関連しているように思われた。 蝸牛耳硬化症例でシュワルツェ徴候がある例ではこのシュワルツェ徴候部の血流が増加しており、また大きく拍動していることがわかった。この血流成分の拍動性の増加は、蝸牛耳硬化症例での人工内耳手術のとき蝸牛内視鏡で鼓室階の中を観察するとこの部の静脈が拡張していることと関連しているものと考えた。文献的にも蝸牛耳硬化症では鼓室階の静脈うっ血があり、この拡張した静脈と周囲の脱灰した骨部との間に血管吻合があることが報告されている。すなわち、蝸牛耳硬化症では静脈系の血流障害があり、このため中耳領域の血管に血液が逃げる形となってシュワルツェ徴候を呈する例があるものと考えた。人工内耳手術でのレーザードップラー法による血流測定の結果、蝸牛耳硬化症例や年齢が高い特発性進行性感音難聴例で内耳血流量が減少していることもわかった。蝸牛耳硬化症による進行性感音難聴は比較的年齢が高い人に多いことを考えると高齢者層での進行性感音難聴では内耳の血流障害が病態と深く関係していることが推察された。
|