研究課題/領域番号 |
15390527
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
國貞 隆弘 岐阜大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30205108)
|
研究分担者 |
木下 茂 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (30116024)
稲富 勉 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (00305583)
本橋 力 岐阜大学, 大学院・医学研究科, 助手 (40334932)
|
キーワード | ES細胞 / 網膜 / レンズ / 試験管内分化 / 再生医療 |
研究概要 |
試験管内で一個のES細胞から、レンズ様の形態をした細胞集団に色素上皮を含む上皮細胞集団が隣接して存在する構造物(培養眼)を誘導する条件を見いだした。色素上皮は特徴的な大きな色素顆粒を持つ6角形の細胞が密集しており形態的には生体の眼の網膜色素上皮と同一であった。細胞塊にはα-A crystallin、α-B crystalline、β-crystalline陽性細胞が検出され、レンズ細胞が誘導されていることを示している。細胞塊にはBrn3b(ガングリオン細胞)、syntaxin(アマクリン細胞)、synaptphysin(複数の網膜細胞)、vesicular GABA transporter(複数の網膜細胞)、rhodopsin、recoverin、peripherin(いずれも光受容細胞)陽性の細胞が検出され、網膜を構成する細胞が誘導されていることを示している。crystallin陽性細胞と網膜細胞のマーカーを発現している細胞は完全に独立した細胞集団を形成しているわけではないが、同じマーカーを持つ細胞同士が集団を形成していることがわかった。このことは、培養眼がある程度網膜の層状構造を反映していると考えられる。網膜とレンズ双方の誘導に必要であることが明らかにされている転写調節因子Pax6の機能を失わせたES細胞からは培養眼が誘導されることはなかったことから、培養眼は生体の眼と同じくPax6に依存して形成されること、つまり眼に相当する器官(構造物)であることを示している。マウスへの移植により培養眼を構成する細胞が眼球内に生着し、一部は網膜を構成する細胞へと分化していたことから、培養眼は,生体内でも眼の組織へと分化することが確かめられた。
|