研究課題
試験管内で一個のES細胞からレンズ様の形態をした細胞集団に色素上皮を含む上皮細胞集団が隣接して存在する、発生中の眼を想起させる構造物(培養眼)を誘導する条件を見いだした。様々な網膜、レンズ、色素上皮特異的なマーカーが発現していること、生体の眼と同じく眼のマスタージーンPax6に依存して形成されることから、培養眼は成体の眼に相当する器官(構造物)であることが示されている。GFPを構成的に発現するES細胞株から誘導後9日目の培養眼をトリプシンで解離し、正常マウスの新生仔や成体の眼球内への移植したところ、10日目にGFP陽性細胞が検出され、それらの細胞はβIIItublinやsyntaxinなどのマーカーを発現していることが確認された。受精後2日のトリ胚の眼胞への移植では、細胞は比較的まとまった細胞塊を形成しそれらはレンズや網膜のマーカーを発現していた。さらに、移植細胞塊から単層のGFP陽性細胞が広範囲に広がっており、大きな色素顆粒を持ちRPE65タンパクを発現していることから、培養眼由来の網膜色素上皮と考えられた。このことから、培養眼には生体内で網膜やレンズを構成する、あるいは分化する細胞が含まれ、特に網膜色素上皮については正常のものと同じ場所で同じように分化する前駆細胞が含まれることが明らかになった。これらの結果は、網膜疾患の細胞治療に培養眼由来の細胞が使える可能性を示唆している。
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Brain Res. 999
ページ: 216-221
臨床整形外科 39
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Mol.Cell Neurosci. In press