研究課題/領域番号 |
15390529
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高木 均 京都大学, 医学研究科, 講師 (70283596)
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研究分担者 |
西脇 弘一 京都大学, 医学研究科, 助手 (90303841)
鈴間 潔 京都大学, 医学研究科, 助手 (80335265)
桐生 純一 京都大学, 医学研究科, 講師 (80281096)
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キーワード | Ets-1 / 網膜血管 / 血管新生 |
研究概要 |
Ets-1は、血管新生の制御因子であること示唆されている転写因子である。虚血網膜における血管内皮増殖因子(VEGF)および低酸素刺激によるEts-1の発現制御について検討した。方法は、ウシ網膜血管内皮細胞を用いてVEGFや低酸素(0.5-1.5%酸素)刺激による発現制御をノザンおよびウエスタンブロット法、EMSA法で検討した。マウス虚血網膜血管新生モデルをC57BL/6Jマウスを生後7日目から75%の高酸素下で5日間飼育し、12日目に正常酸素下に戻すことにより作成した。Ets-1の血管新生に対する作用を優性変異型Ets-1を組み込んだアデノウイルスを用いてin vitroでは細胞増殖試験及び管腔形成試験により、in vivoではマウス網膜血管新生モデルにより検討した。結果は、VEGF刺激、低酸素刺激によりEts-1のmRNA発現は増加した。蛋白レベル、DNA結合能もVEGF刺激により増加した。マウス虚血網膜においても、Ets-1のmRNAレベルの増加は生後15日目から23日目にかけて認められた。Ets-1 mRNA発現はチロシンキナーゼ、PKC、MAPキナーゼ(ERK)のインヒビターにより抑制されたが、PI3キナーゼインヒビターでは抑制されなかった。ERKのリン酸化はPKCインヒビターにより減少した。優性変異型Ets-1をアデノウイルスベクターを用いて細胞に強制発現させることにより、ウシ網膜血管内皮細胞のVEGFによる細胞増殖と管腔形成は抑制された。マウスモデルの硝子体にこのアデノウイルスを注入することにより、網膜血管新生を有意に抑制することができた。以上の結果から、Ets-1は虚血性網膜血管新生に関与しており、Ets-1の作用を抑制する事で、虚血性血管新生を抑制することができる可能性があり、糖尿病網膜症などの虚血性網膜血管増殖疾患において、治療の標的分子として考慮される。
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