研究課題/領域番号 |
15390530
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西田 幸二 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40244610)
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研究分担者 |
岡野 光夫 東京女子医科大学, 先端生命医科学研究所, 教授 (00130237)
田野 保雄 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80093433)
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キーワード | 再生医療 / 温度応答性培養皿 / 角膜上皮 / 角膜内皮 / 移植 / 培養 / 口腔粘膜 / 分化転換 |
研究概要 |
本研究では、これまでの角膜移植の予後不良な疾患に対する新たな再生医療技術を開発することを目的としている。 1.培養角膜上皮シート移植の開発 全年度までに、基質を用いない培養角膜上皮シートおよび培養口腔粘膜上皮シートの作成と回収方法を確立した。本年度はウサギへの移植実験を行い、移植後の培養上皮シートの動態について検討した。ウサギの全角膜上皮を剥離し輪部を全周切除して、角膜表面が血管を伴った結膜組織で被覆された、ヒトの角膜上皮幹細胞疲弊症のモデルを作製し、自己の口腔粘膜上皮シート移植を行った。ウサギ角膜は口腔粘膜から作製した細胞シートで透明に再建することができた。角膜へ移植した口腔粘膜上皮由来の細胞シートは角膜上皮と類似のケラチン発現パターンを示していた。しかし、移植後2週間の時点でケラチン12は陰性であり、完全には角膜上皮へ分化転換は示していなかった。以上の結果より、培養口腔粘膜上皮シートは機能的に角膜上皮の代用となりえると考えられた。 2.培養角膜内皮シート移植の開発 これまでに、角膜内皮細胞を培養法、培養内皮細胞シートの作成と回収方法を確立した。本年度は、培養角膜内皮シートの移植法を確立し、それが移植後に機能するかを検討した。ウサギの角膜内皮障害モデルを作成し、このモデルの中央部直径7mmの角膜をトレパンで打ち抜いてとりだし、その上にヒト培養角膜内皮シートを張りつけて接着させた。ヒト培養角膜内皮シートをはりつけたウサギ角膜は少しづつ薄くなり、1週間で透明性が回復したのに対して、移植しなかった群は1週間後に角膜は厚いままで不透明であった。組織学的検討では、移植群では有意に角膜厚の減少が見られ、移植した角膜内皮細胞も生着していた。これらの結果より、移植した培養内皮細胞は機能しており、我々が開発した培養内皮細胞シート移植法は臨床的に有用であることが示唆された。
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