研究概要 |
96名の近視小学生(-1.25〜-6.00D)を募集し、無作為に2群にわけ、一群には累進屈折力眼鏡(MCレンズ、Sola社、近見加入度数:+1.50D)を処方し、もう一群には単焦点眼鏡を処方し、常時装用するよう指導した。初回検査時には、参加者の、非調節麻痺下の自覚的屈折値、非調節麻痺下の他覚的屈折値(赤外線オートレフによる)、調節麻痺下の自覚的屈折値、調節麻痺下の他覚的屈折値を調べた。両者を比較し、日本人近視学童における調節麻痺薬(0.5%tropicamide)の有効性を評価した。近視進行に関連すると推定される調節ラグ、近見眼位も同時に測定した。これらの結果をベースラインデータとして報告した。さらに、近視学童は正視学童に比較し、調節反応が不良で、より大きな調節ラグが発生することが明らかになったため、これを報告した その後6か月ごとに、定期検査を行い、近視進行による視力低下がみられれば、逐次、新たに眼鏡を処方した。累進屈折力眼鏡の下方ずれは、近見加入度数効果のコンプライアンスを低下させる可能性があるため、デジタルスチルカメラによる画像計測法を新たに開発し、これを報告した。定期検査ごとに、累進屈折力眼鏡の下方ずれを評価し、必要な場合には逐次、眼鏡士による眼鏡フレームの調整を行った。 第4回検査(経過観察開始後18か月時点)では、調節麻痺薬を用いて初回検査と同様の検査を行うとともに、レーザー干渉計による非接触眼軸測定(IOL master, Zeiss)を検査に加えた。第4回検査は、クロスオーバー研究の中間地点にあたる為、累進屈折力眼鏡使用者には単焦点眼鏡を、単焦点眼鏡使用者には累進屈折力眼鏡を新たに処方した。2005年2月時点で、2名の途中脱落者があったものの、94名の参加者の半数が、第6回定期検査を終了している。
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