昨今の再建外科においては高度な手術手技のみでなく、より低侵襲の治療法開発が求められている。再建医学領域での低侵襲治療としてわれわれは自己組織再生と組織工学的再生臓器の移植が今後の二つの柱であると考えている。これらにとって共通の問題点は再生組織を栄養するための微小循環血行の確立が難しいことである。欠損部から自己組織を再生させる場合は概ね糖尿病等の基礎疾患、高齢、衰弱、虚血などの悪条件下にあり、母床からの新生血管誘導が困難である。また実験室でいかに高性能な再生臓器であっても、生体内で細胞や組織の機能を長期に維持するには、栄養血管系が不可欠であることは自明である。しかし生体から摂取した細胞を培養して目的とする組織を構成する組織工学プロジェクトの多くは、栄養血管についての配慮が欠けている。 本申請においては上記問題点の克服すなわち自己および組織工学的再生組織への微小循環血行確立を目指す。いずれにおいても血管新生という生体現象が鍵を握っている。本プロジェクトでは、(1)生体制御システムの一環として血管新生のメカニズムを明らかにする。(2)メカニズムに基づき新しい血管新生療法を開発する。(3)その血管新生療法を再生組織のvascularizationに応用する。といったステップで目的を達する計画である旨申請を行った。 結果、マウス皮弁モデルにおける骨髄細胞の血管新生効果、サイトカイン製剤の臨床への有効利用等の成果を公表した。
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