研究課題/領域番号 |
15390545
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
塩崎 忠彦 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60278687)
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研究分担者 |
小倉 裕司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70301265)
田中 裕 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90252676)
杉本 壽 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90127241)
田崎 修 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90346221)
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キーワード | 蘇生後脳症 / 脳血流量 / 神経学的予後 / 脳酸素消費量 |
研究概要 |
我々は、CPA蘇生後の脳血流量の経時的変化と神経学的予後の関係を明らかにするため、蘇生後脳症患者8例に対して蘇生直後から1週間内の脳血流動態をXe-CTを用いて経時的に測定し、併せて脳酸素代謝の経時的変化を観察して神経学的予後との関係を検討した。その結果、1.蘇生後脳症の脳血流量は、蘇生直後は正常範囲内に維持されているが、蘇生後8-24時間内に低下し、24-48時間内に正常化した後、1週間目までは低値の状態が続いた。 2.脳血流の変動パターンは蘇生後脳症患者の神経学的予後によって相違を認めなかった。 3.予後良好群では脳血流量の変化によらず、脳酸素消費量(CMRO_2)は蘇生直後から低く保たれ、相対的な需要-供給の均衡が維持されていた。 4.予後不良群では蘇生直後のCMRO_2は高値を示して相対的な脳血流量不足状態をきたし、需要-供給の不均衡を生じていた。 という事実が判明した。以上の結果から、予後良好群では脳血流量の変化によらず、脳酸素代謝は低く抑えられて、需要と供給のバランスが維持されているが、予後不良例では蘇生直後は脳酸素代謝が亢進して相対的脳血流量不足状態をきたし、48時間後に脳血流量が回復する頃には脳酸素代謝が低下して相対的脳血流量過剰状態をきたし、アンバランスを生じていると考えられた。従って蘇生後脳症患者の予後を好転する可能性があるtherapeutic time windowは蘇生後1〜2時間以内であると考えられる。今後このgolden timeの更なる病態の解明とこの時間に集中した治療法の導入が予後の改善に大きく寄与すると考えられる。 我々は、Positron Emission Tomography(PET)よりも汎用性の高い画像システム(SPECTを改良したHybrid PET)を用いて脳グルコース消費量を画像化することに成功し、重症頭部外傷患者の脳グルコース代謝の測定を開始した。今年度は、蘇生後脳症患者でも脳グルコース代謝を測定し、脳血流量変化及び脳酸素代謝との関連を検討する計画を立てている。
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