研究課題/領域番号 |
15390545
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
塩崎 忠彦 大阪大学, 医学研究科, 助手 (60278687)
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研究分担者 |
杉本 壽 大阪大学, 医学研究科, 教授 (90127241)
田中 裕 大阪大学, 医学研究科, 助教授 (90252676)
小倉 裕司 大阪大学, 医学研究科, 助手 (70301265)
田崎 修 大阪大学, 医学研究科, 助手 (90346221)
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キーワード | 蘇生後脳症 / 脳血流量 / 神経学的予後 |
研究概要 |
〔研究I〕全身麻酔下に雄スナネズミ(70〜100g)の両側頚動脈をテーピングし、A群(10匹)では5分間、B群(10匹)では15分間、C群(10匹)では30分間、両側頚動脈を遮断して、再開通後の生存率を比較した。血流再開後、A群(10匹)は10匹中10匹、B群(10匹)では10匹中9匹、C群(10匹)では10匹中5匹が生存した。C群では血流再開後に脳表に点状出血が出現し、生存率(50%)とも考え合わせて、実際の蘇生後脳症患者の病態に最も類似していると考えられた。 〔研究II〕全身麻酔下に雄スナネズミ(70〜100g)の両側頚動脈をテーピングし、脳表観察のために頭頂窓を確保した後、〔研究I〕と同様にA群(6匹)では5分間、B群(6匹)では15分間、C群(6匹)では30分間、両側頚動脈を遮断した。血流再開後、生体顕微鏡下にレーザー組織血流計を用いて脳表微小循環をリアルタイムにモニターし、同時にイメージアナライザーを用いて脳表血管径を経時的に測定した。A群とB群では、脳表血流量は再潅流後徐々に増加し、10〜15分後にピークに達して遮断前の約160〜190%となり、20〜30分後に再度遮断前の状態に戻った。脳表細動脈径は10〜15分後にピークに達して遮断前の約110%となり、約30分後に遮断前の状態に戻った。脳表細静脈径も10〜15分後にピークに達して遮断前の約120%となり、細動脈の場合とは違って遮断前の状態に戻るのに60分以上を要した。 これに対してC群では、再潅流後の脳表血流量は約30分かけて徐々に増加して遮断前の値に復し、ピークを全く認めなかった。脳表細動脈径は再灌流後60分経過しても遮断前値に復さなかった。脳表細静脈径は対照的に再灌流後120%まで増加したが、A群とB群と違って遮断前値には復さなかった。以上より、C群ではA群・B群と全く違った脳循環が生じていることが判明した。 平成17年度は、組織酸素化ヘモグロビン量の変化も測定し、血流量変化及び血管径変化が脳酸素消費量とどのように関連して変化しているのかを脳酸素需給バランスの観点から追求する。
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