研究課題
基盤研究(B)
本研究で以下の成果を得た。1.細菌感染症性ショックの早期メディエーターは内因性マリファナである:細菌感染症においては、グラム陰性菌の場合には、エンドトキシンがマクロファージ、樹状細胞上のTLR-4/CD14を介して、グラム陰性菌の場合にはTLR-2からシグナルが入り、内因性マリファナであるアナンダマイドと2-arachidonylglycerol(2-AG)の産生放出を促進する。この内因性マリファナはCB1,CB2受容体を介して血管壁細胞に作用し、血管拡張を惹起するが、これが過剰の場合に、細菌感染症性ショックに陥る。すなわち、内因性マリファナは、細菌感染症性ショックの"早期メディエーター"として働く。2.劇症肝炎、溶血性尿毒症症候群(HUS)の病態形成にも内因性マリファナが関係する:劇症肝炎やHUSでも内因性マリファナが血液中で異常高値となり、これらの疾患での病態形成に関わる。3.内因性マリファナはポリミキシンBに吸着される:内因性マリファナはポリミキシンB固相化カラムで血液を体外循環すると、血中から内因性マリファナは除去され、早期ショックの症候は改善される。4.後期ショックのメディエーターはHMGB1である:壊死細胞、あるいは活性化マクロファージからはDNA結合蛋白HMGB1 1が細胞外に遊離してくる。このHMGB1が細胞外では炎症性サイトカイン、さらには"炎症の転移"、"臓器不全"のメディエーターとして働くことを明らかした。すなわちHMGB1は感染症をはじめ、諸疾患で高値を示すが、それが持続するときには、急性肺障害(ALI)やARDSの原因となる。5.HMGB1局在化機構:HMGB1は局所では幹細胞の遊走増殖に働き、創傷治癒に働く。このようにHMGB1を"善玉"メディエーターに保つ機構が、内皮細胞上のトロンボモジュリンであることを明らかにした。
すべて 2005 2004 2003
すべて 雑誌論文 (12件)
J Clin Invest 115・(5)
ページ: 1267-1274
Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol. 288・(5)
ページ: L958-L965
J Clin Invest. 115(5)
Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol. 288(5)
Am J Respir Crit Care Med. 170・(12)
ページ: 1310-1316
Shock 21・(1)
ページ: 8-12
Am J Respir Crit Care Med. 170(12)
Shock. 21(1)
Hepatology 38・(5)
ページ: 1167-1177
Clin Chem 49・(9)
ページ: 1535-1537
Hepatology. 38(5)
Clin Chem. 49(9)