研究課題/領域番号 |
15390549
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
柴田 健一郎 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50145265)
|
研究分担者 |
黒木 由夫 札幌医科大学, 医学部, 教授 (70161784)
安田 元昭 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (90239765)
|
キーワード | Toll-like receptor / リポペプチド / リポタンパク質 / ペプチドグリカン / アポトーシス |
研究概要 |
Toll-like receptor2(TLR2)は微生物由来リポタンパク質(LP)、リポペプチドならびにペプチドグリカン(PGN)の認識部位について検討した。 LPはM.salivariumから調製し、リポペプチドはLPの活性部位であるN末端リポペプチドS-(2,3-bispalmitoyloxypropyl)CGDPKHPKSF(FSL-1)を合成し、またPGNはS.aureus由来の市販品を用いた。ヒトTLR2をクローニングし、種々の点変異体(L107E、L112E、L115E、L123E、L132E、E178A、E180A、E190A)を作成した。これらの遺伝子をNF-κBレポーター遺伝子と共にHEK293細胞に導入し、リガンドによるNF-κBの活性化をルシフェラーゼ活性で評価した。TLR2ならびに変異体の細胞表面での発現は共焦点レーザー走査顕微鏡およびFlow Cytometryで確認した。 まず、FSL-1の構造とTLR2による認識機構を解明するために、、FSL-1のペプチドならびに脂肪酸部分の変異体を作成し、TLR2による認識を調べた。その結果、FSL-1のペプチド部分ならびに脂肪酸部分の双方がTLR2で認識されることがわかった。 野生型および変異型TLR2(E180A、E190A、L123E、L132E)のtransfectantでは、LP、FSL-1ならびにPGN刺激によってNF-κBの活性化が誘導されたが、L107E、L112EならびにL115Eでは、NF-κBの活性化が誘導されなかった。これらの変異体は野生型TLR2と同様に細胞表面に発現していた。 以上のことより、TLR2のひとつのロイシンリッチリピートに存在する107、112、115番目のロイシン残基はLP、FSL-1およびPGNの認識に関与しているということが推測される。TLR2の細胞外ドメインには8個のロイシンリッチリピート(LRR)が存在し、これらのロイシン残基は第3番目のLRRに存在する。そこで、第3番目以外のLRRに存在するロイシン残基の関与も調べた。その結果、全てのLRRには1個の認識に関与するロイシン残基が存在し、それらはLRRのconstant regionに存在することがわかった。 さらに、TLR2ならびにTLR6を導入したHEK293細胞をLPで刺激するとアポトーシスが誘導され、そのメカニズムの一部も明らかにした。
|