研究課題/領域番号 |
15390551
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菅原 俊二 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (10241639)
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研究分担者 |
高田 春比古 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (30135743)
根本 英二 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (40292221)
遠藤 康男 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (50005039)
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キーワード | 歯周病原菌 / 好中球 / プロテアーゼ / プロテアーゼ活性化受容体 / 自然免疫 / 口腔粘膜 / サイトカイン / 血小板 |
研究概要 |
本研究は、好中球セリンプロテアーゼの宿主細胞活性化という新たな生物活性のメカニズムを分子レベルで明らかにし、歯周病原菌に対する自然免疫における同プロテアーゼの新たな役割を解明することを目的に計画した。本年度は以下のような研究実績を得た。 1.セリンプロテアーゼproteinase 3(PR3)は好中球のほかに炎症歯肉上皮にも発現していることを突き止めた。培養口腔上皮細胞株を炎症性サイトカインで処理することにより、同細胞は酵素活性をもつPR3を産生し、また、細胞膜上にも強く発現することを見出した。さらに、抗PR3抗体の架橋によりPAR-2を介して同細胞を活性化しケモカイン産生を誘導することを明らかにした。これは,粘膜上皮にもPR3が発現するという新たな知見であるとともに、炎症における自己抗体(抗好中球細胞質抗体:ANCA)の新たな作用機序を提示するものである。本研究目的の一つである動物モデルでの証明も完了しており現在、論文投稿中である。 2.歯周病原菌の主要な病原因子である内毒素性リポ多糖(LPS)の毒性発現には血小板が重要な役割を果たしており、グリチルリチンがその抑制効果を発揮することを明らかにした。血小板の活性化にもセリンプロテアーゼが関与しており、グリチルリチンの抑制効果はプロテアーゼ活性の抑制によるものと推察された。 3.歯周病原菌をはじめ細菌の普遍的構成成分であるペプチドグリカン構成要素はNOD依存的に宿主細胞を活性化することを明らかにした。 4.さらに、粘膜疾患にはT細胞の浸潤を伴うことから、粘膜細胞のT細胞サイトカインIL-2/15に対する応答機構の解明にも取り組んだ。その結果、粘膜細胞が発現する内在性IL-15はNF-κBの活性化を介してIL-2/15レセプターの発現調節をしていることを明らかにした。
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