研究課題/領域番号 |
15390554
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
井関 祥子 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80251544)
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研究分担者 |
太田 正人 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70313228)
江藤 一洋 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30014161)
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キーワード | BMP / FGF / noggin / DNAアレイ / 歯根形成 |
研究概要 |
胎児頭蓋冠器官培養を用いて、bone morphogenetic protein (BMP)のアンタゴニストであるNogginを作用させた結果、頭蓋冠骨の成長を誘導するBMPの濃度と同濃度では頭蓋冠の成長や縫合部の形態に変化は認められなかった。NogginはBMPの受容体への結合を阻止することによってその拮抗作用を示すことから、より高濃度のNogginを作用させた場合の効果を現在検討中である。また、胎児期のNogginの発現は、骨基質を産生する骨芽細胞に比較的高く、縫合部の間葉では低いことをin situ hybridizationによって確認した。さらに線維芽細胞増殖因子(FGF)浸漬ビーズをin vivoで胎児頭蓋冠へ作用させると骨形成マーカーの発現が上昇するが、これと一致してnogginの発現は低下していた。 in vivo 胎児頭蓋冠骨へのFGF浸漬ビーズの適用させた場合に観察されるDNAアレイ上での遺伝子発現変化については、検討した約45,000遺伝子の中で、作用させるFGFによって遺伝子発現が上がるもの、下がるものが数百個観察された。この中で骨形成に関係し、作用させるFGFによって発現レベルに差がある遺伝子について、FGFビーズをin vivo胎児頭蓋冠骨に適用させた後にin situ hybridizationを行なったところ、ビーズ周辺での遺伝子発現変化とアレイが示した発現変化が一致しなかった。これは、アレイではRNA量確保のために広範囲にわたって組織を回収するため、ビーズ周囲に起きる局所的な変化を捕らえるのではなく、その周辺の骨組織での総合的な変化を観察していると考えられた。ゆえに効率良い解析法の検討が必要である。 FGF18が頭蓋顔面の硬組織形成に関与することから、硬組織である歯牙の形成への関与を検討するため、歯冠がほぼ完成し歯根開始前後の歯胚にFGF18を作用させたところ、歯根の伸長誘導活性が非常に高かった。このように歯根形成を促進する作用のある蛋白質はこれまでに報告がなく、また歯科臨床において有用であることが示唆されたため、「歯根形成促進剤及び歯根形成促進方法」として特許申請を行った。
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