研究分担者 |
長崎 信一 (山田 信一) 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (10263724)
藤原 百合 広島大学, 病院, 助手 (40346515)
吉田 光由 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (50284211)
飯田 幸弘 朝日大学, 歯学部, 助手 (60350873)
勝又 明敏 (川俣 明敏) 朝日大学, 歯学部, 助教授 (30195143)
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研究概要 |
平成15年度,16年度にコーンビームCT(CBCR)撮影をうけたボランティア10名ををマルチスライスCT(MSCR; 東芝Aquilion)を用いて撮影した。MSCT撮影は,仰臥位であるのでCBCTとできるだけ同じ状態になるようにするため,フランクフルト平面を床に垂直になるよう位置づけ,撮影した。安静時での撮影を行うため唾液嚥下を指示して約10秒後に撮影を行った。しかし,得られた像を見ると咬合した状態が7例,CBCTで咬合し,MSCTで安静位になったものが2例,両方とも安静位だったものは1例に過ぎなかった。このことは唾液嚥下を指示して10秒後に撮影することは安静位を保証するものではないことがわかった。このため,今回はもっとも多い咬合状態のケースについて比較することとした。 本年度は,解析を中心に行った。まず,梨状陥凹の面積・容積・深さについて検討したが,これまで梨状陥凹と読んでいた部分は,放射線学ではしばしば,造影剤の貯留している部分について梨状陥凹と呼ぶためこのような呼称を用いたが解剖学と一致しないため,梨状陥凹を上部と下部に分けて検討した。右向き嚥下の効果は,下部梨状陥凹の変化により説明されてきたが,実際に計測した結果,下部梨状陥凹は大きな役割を果たしていないと考えられた。バーチャル内視鏡や内視鏡の観察結果では,右向きでは左の上部梨状陥凹が拡大し,通過しやすくなる上,右の上部梨状陥凹は狭くなり,流れがこちらを通りにくくなることがわかった。 実際の患者で観察した結果,一方を向いた状態で嚥下すると,多くの患者では造影剤は反対側を通過するが,患者は健常人と異なり,十分な姿勢変化を行うことのできないものも多く,同側も一部通過し,十分な効果が得られない症例もあった。これは右向き(左向き)嚥下を採用する場合,VF検査で充分確かめておく必要があることを示唆する。 CBCTとMSCTについては軟口蓋,舌に違いがあると予測されていたが,やはり仰臥位では軟口蓋が咽頭壁に近づくものが多かった。一方,座位では喉頭が下降し,喉頭蓋や舌骨の位置が下方に位置していた。これらから,やはりこれまで行われてきた仰臥位の検査は必ずしも座位での状態を反映していないと考えられた。
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