前年度に開発した、飼育小動物に最適化した専用X線CTをさらに改良し、実際にさまざまな撮影実験を行い、その性能を評価した。 実際に撮影に使用した実験動物はウサギ、モルモット、ラットおよびマウスであった。麻酔薬pentobarbital(30mg/kg)を注射にて実験動物の腹腔内に投与し、5-30分ほどで麻酔の深度がもっとも深くなったところで撮影を行った。 麻酔下の実験動物は、通常、撮影台のアクリル板の上に置かれ、撮影部位を中心に粘着テープ等で固定された。撮影台をXYZ方向に移動しながら、水平方向と垂直方向からX線透視を行い、撮影部位が視野の中央にあることを確認した。次に、測定開始ボタンをマウスでクリックすることで撮影が開始するようにした。X線管球とセンサーが17秒間で1回転して、投影データが収集された。このデータはパーソナルコンピュータにただちに取り込まれ、画像再構成が行われ、2分後には3次元画像を得ることができるようにした。画素の大きさは正立方形で1辺の長さを10-100μmとした。画素数は512x512x384画素とした。また、画像処理により、観察したい任意の方向で再スライスした画像を得られるようにした。 歯根膜や骨梁の状態を鮮鋭に観察することができた。また、飼育中の実験動物を週齢ごとに撮影することで、同一の個体の骨の再生や治癒および老化の様子を観察することが可能となった。
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