研究分担者 |
新海 航一 日本歯科大学, 新潟歯学部, 助教授 (90147843)
海老原 隆 日本歯科大学, 新潟歯学部, 講師 (40287777)
田中 紀裕 日本歯科大学, 新潟歯学部, 助手 (40318548)
白野 学 日本歯科大学, 新潟歯学部, 講師 (40339453)
鈴木 雅也 日本歯科大学, 新潟歯学部, 助手 (10409237)
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研究概要 |
今年度は、昨年迄と比較し、より短期およびより長期の観察期間を設定し、配合する修復象牙質形成促進剤をより低濃度に調整したものを使用し、創傷の治癒形態について病理組織学的に追加検討を行った。その結果、以下の成績が得られた。 全ての群で,術後初期(1日)に軽度の炎症性変化を認めたものの,それらは経時的(3,7日)に消退する傾向にあった。修復象牙質の形成が観察された群では,術後14日で明瞭となり,術後28日まで形成量は増加した。Group(1)およびGroup(2)は類似した経過を示したが,14日における修復象牙質の形成量はGroup(1)の方が多い傾向がみられた。28日ではともに完全象牙質橋を観察した。Group(3)は,14日までは修復象牙質の形成はほとんど観察されなかったが,28日では象牙質橋を認める試料があった。Group(4)は,1日で他と比較的して若干強い炎症性反応が観察されたが,時間の経過とともに消退した。修復象牙質は14日ではほとんど観察されず,28日でも露髄部周囲の髄壁には多量の刺激象牙質が形成されたが,露髄部中央部では修復象牙質の形成はほとんどなく,炭化・熱変性層が形成を阻害しているように思われた。Group(5)は,1日で厚い壊死層を観察したが,3日でその壊死層直下に象牙芽細胞様細胞の新生を認めた。炎症像は7日でほぼ消退し,14日で完全象牙橋を形成した。その後,修復象牙質と刺激象牙質は28日まで形成量は増加した。 本研究の結果から,術後28日で炭酸ガスレーザー群を除く実験群で完全象牙質橋の形成を認めたが,対象群および試作接着性システム群で比較的早期から修復象牙質を形成する傾向が観察されたことから,試作接着性システムが歯髄直接覆罩処置における初期の修復象牙質の形成に有用であることが示唆された。
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