研究課題/領域番号 |
15390579
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
保存治療系歯学
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
石井 信之 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (20163610)
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研究分担者 |
渡辺 清子 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (70148021)
槻木 恵一 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (00298233)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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キーワード | Toll-like receptor / 樹状細胞 / 抗原提示細胞 / 象牙芽細胞 / 歯髄 / 定量PCR法 / 免疫組織化学 / 自然免疫応答 |
研究概要 |
歯髄内に存在する樹状細胞は、自然免疫における第一次防御機能として作動すると共に、抗原提示機能により獲得免疫反応を誘導することが示唆されている。樹状細胞は自然免疫の初期異物処理だけでなく、抗原提示細胞であることが明らかになり、免疫ネットワークにおける1つのセンター的役割を担っていることが示され、その起源、発生、分化成熟過程や機能的役割に注目が集まっている。この樹状細胞が歯髄に多数存在することが知られており、感染を受けた歯髄内において病原認識機構に関与するToll-like receptor 2(TLR2)および4(TLR4)を介した自然免疫機能の発動については十分に明らかにされていない。本研究は、歯髄の自然免疫応答機序を解明するために、感染歯髄における抗原提示細胞の動態とTLR2、4遺伝子発現を検索することを目的とした。免疫応答の異なるマウスを実験に使用し、TLR2、4産生細胞と遺伝子発現を免疫組織学的検索と定量PCR法解析した。その結果、正常マウス、T細胞欠損マウスおよび免疫不全マウスともに象牙細管に細菌侵入後3時間からTLR2、4mRNA発現が認められ、9時間後に発現量のピークを示した。TLR2mRNA発現量はTLR4発現の約30倍を示し、歯髄感染初期の強いグラム陽性菌感染の結果に相関していた。免疫組織化学的検索の結果、細菌侵入後3時間から象牙芽細胞層の配列が乱れ、9時間後にはネスチン陽性の未分化間葉系細胞が感染象牙質直下に遊走し、これらの細胞はTLR2、4産生細胞と一致していたことから象牙質形成との関与が強く示唆された。また、配列が乱れた象牙芽細胞層には、象牙細管に進入した樹状形態を有する細胞郡が認められ、これらの細胞もTLR2、4産生細胞と一致していた。歯髄感染初期には象牙芽細胞様細胞および樹状細胞様細胞が自然免疫応答に強く関与している所見が得られた。象牙細管感染後24時間では象牙芽細胞層直下に遊走した炎症性細胞浸潤を主体とした細胞群(マクロファージ)にTLR2、4陽性所見が認められた。以上の結果から象牙細管を介した口腔常在菌により、歯髄感染初期に象牙芽細胞層においてTLR2を中心とした自然免疫応答の作動が明らかになった。免疫応答の相違によるTLR2、4遺伝子発現および産生細胞動態は実験24時間までに明らかな相違は認められず、リンパ球浸潤が認められる前に感染歯髄は治癒機転に向かうことが示唆された。
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