研究概要 |
これまでに開発した,歯に加わる荷重の三次元リアルタイム測定システムを用い,機能時の部分床義歯支台歯に加わる荷重の測定ならびに解析を行った. 被験歯毎に鋳造製作した歯冠部と根管内ポストで、荷重センサを上下的に挟み込む構造の測定装置を,実験の趣旨を十分に説明し同意を得た部分欠損患者二名の支台歯に応用した.一名は下顎左側第一小臼歯,もう一名は下顎右側第二小臼歯である. 近・遠心レストを着脱可能にした被験義歯を装着した被験者に最大噛みしめを行わせ,支台歯に加わる荷重を(1)義歯無し時,(2)近・遠心レスト付与時,(3)近心レスト付与時,(4)遠心レスト付与時でそれぞれ測定した.支台歯に加わる荷重量は,(1)112.9±8.1N,(2)93.5±15.3N,(3)87.6±13.8N,(4)79.3±3.9Nであり,義歯無し時に比較して遠心レスト付与時に有意に低下した.また、FH平面からの垂線に対する支台歯に加わる荷重方向の近・遠心的角度は,(1)21.0±0.9度,(2)16.8±0.9度,(3)12.8±1.6度,(4)19.5±0.3度であり,義歯無し時に比較して近心レスト付与時に有意に減少し,また遠心レスト付与時は近心レスト付与時に比較して有意に増加した.頬舌的角度は,(1)9.9±0.9度,(2)11.2±1.4度,(3)10.2±0.8度,(4)9.0±1.0度であり,有意差はみられなかった. 以上のように,レストの設置位置の違いにより,最大噛みしめ時に部分床義歯支台歯に加わる力の方向が変化する様相を捕らえることができた.
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