研究課題
基盤研究(B)
本研究の目的は、歯根膜を介して支持される天然歯および歯根膜のない骨によって支持される人工歯根を上部構造によって連結させて咀嚼機能を営ませたとき、この人工歯根の外周の血管・骨組織に生じる経週的変化を調査することにある。実験動物にはヒトの咀嚼様式と近似するカニクイザルを用い、生体親和性の高いシリンダー型陽極酸化チタニウム製の人工歯根を用いた。実験動物の予備飼育を1ヶ月間行い、その後に両側下顎臼歯部の抜歯を行った。抜歯後12週以上の治癒期間をおき、抜歯創の治癒を十分に確かめた後に、人工歯根をそれぞれの欠損部に植立した。いずれの人工歯根も実際に臨床において使用される器具と方法を用いて行った。それぞれの人工歯根が顎骨へ生着固定されるのを12週以上待ち、残存天然歯の支台形成ならびに人工歯根の印象用ポストの連結後、印象採得を行った。天然歯と人工歯根を不動性連結させるために金銀パラジウム合金製の連結上部構造を装着した。連結上部構造装着後1,2週後に実験動物をそれぞれ安楽死させ、総頸動脈からアクリル樹脂を注入し、通法により、骨・微細血管鋳型標本を作製し、走査電顕にて観察を行った。現在のところ、連結上部構造装着1週後では新生骨の増生はあまり認められないが、人工歯根周囲には旺盛な血管の増生を認めた。連結上部構造装着2週後では新生骨の増生が明確に認められ、血管の増生も認めた。連結上部構造装着後の1週と2週の観察結果を比較すると、人工歯根の周囲のインプラント槽骨は時間経過とともに増生する傾向を示していた。しかしながら、実験動物の入手が遅れ、実験計画全体が遅延しており、長期の実験については現在実験中であり、一部短期の実験は標本の作製中である。
すべて その他
すべて 文献書誌 (2件)