研究課題
我々は昨年度と同じく、ラットを用い、hBMP-2遺伝子を含浸させたコラーゲンを充填したシリコン製の鋳型の中に、血管柄の付いた小筋体を挿入し、鋳型の内腔と同じ形態の誘導骨を作製する実験を試みた。この方法は、他組織への拡散、漏出などによって身体の各所で起こりうる副作用をあまり考慮する必要もなく、BMPを極力局所にとどめ、高濃度のBMPを効果的に作用させ、かつ賦形成を持った血管柄付き誘導骨をつくることのできるという画期的な方法であった。すなわちシリコン製の鋳型の内腔の形を変えることによって様々な部位に適合する骨を作製することができる。しかし、いずれも末梢にある筋組織は壊死を起こしていた。バッファーや担体などに関しても、検討を加えたものの、いずれも壊死してしまった。また、遺伝子をあらかじめin vitroにて導入した細胞を生体内に戻す実験も進めていたが、こちらに関しては、骨形成が確認され、論文を作成中である。一方、プラスミドの直接投与も試みた。ラットの脛骨に骨欠損を作製し、hBMP-2cDNAを組み込んだ発現プラスミドベクターをリン酸カルシウム含有させたGAM(Gene Activates matrix :プラスミドを含有したコラーゲン)と混合し、欠損部に移植した。コントロールとしてリン酸カルシウムに含まないものを用意した。その結果4週後にはリン酸カルシウムを含有したGAMを用いた群では骨架橋がX線学的に観察され、6週後にはほぼ完全な骨形成が確認された。また、リン酸カルシウム非含有のGAMでは骨形成の度合いは明らかに低く、コラーゲンのみ、もしくはhBMP-2cDNAを組み込まれていない発現プラスミドを用いたネガティブコントロールでは骨形成が観察されなかった。従来使われてきたコラーゲン含有のGAMに比べて明らかに遺伝子導入の効率が上がったものと思われた。
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Tissue Engineering (In press)
Oral Surgery Oral Medicine Oral Pathology 101
ページ: E23-E27