研究課題
基盤研究(B)
免疫機能と骨粗鬆症の関係を解明するためにヌードマウスを用いた骨粗鬆症原因遺伝子の検索を目的に研究を行った。ヌードマウスとワイルドタイプのマウスに免疫抑制剤FK506を連日28日筋肉注射(1mg/kg)し骨粗鬆症モデルマウスを作製した。FK506による実験群の骨吸収はenchondral ossificationより下方でtrabecula boneの減少が認められた。しかし、ヌードマウスではenchondral ossificationより下方での骨吸収はほとんどなく、コントロールと変化がないことから、免疫抑制剤による骨粗鬆症は、T細胞が関係していることが示唆された。次に、最初にスイスチーズのスターターであるプロピオン酸菌の発酵産物(PC)について検討した。対照群、FK506投与、FK506投与とPC経口投与の10週目マウス大腿骨をそれぞれ摘出後軟X線で撮影し、骨塩量を測定した。結果PC経口投与群ではFK506投与群より有意に骨吸収が改善していた。PC中に多く存在するDHNAは近年骨量改善作用を持つことで注目されているビタミンK2と同じナフトキノン骨格を有している。この点に注目しわれわれは、対照群、FK506投与、FK506投与とDHNA経口投与の10週目マウス大腿骨をそれぞれ摘出後軟X線で撮影し、骨塩量を測定した。その結果DHNA経口投与群ではFK506投与群より有意に骨吸収が改善していた。PCの骨吸収抑制効果はDHNAによることが同定できた。破骨細胞分化と免疫細胞の関係について検討した。マウスの破骨細胞分化系、すなわち骨芽細胞様ストローマ細胞と骨髄細胞の共存倍養系に、磁気ビーズにて骨髄内よりCD4陽性なT細胞やB220陽性なB細胞を添加すると破骨細胞はコントロールに比べて有意に増加した。このことは免疫細胞T, B細胞が破骨細胞分化に何らかの影響を与えていることが推測された。骨粗鬆症実験動物から脾臓、腸間膜リンパ節のT、B細胞を抽出し、FACSで経時変化を見た。その結果免疫抑制剤により全身的にT細胞は減少し、B細胞は増加していた。すなわち、免疫抑制剤によりT, B細胞が増減していることが分かった。以上の結果から免疫抑制剤投与モデル動物では、T, B細胞などの免疫細胞が関与し、破骨細胞分化を促進し骨吸収が増加していることが推測できた。さらにDHNAによってこの骨吸収と免疫細胞の関係を改善する可能性も出てきて、さらなる検討が必要である。
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