顔面部癌性および神経因性疼痛における脊髄路核知覚神経細胞の再生と機能再建

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15390622
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 九州歯科大学
• 研究代表者: 仲西 修 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (50137345)
• 研究分担者: 河原 博 九州歯科大学, 歯学部, 助教授 (10186124) ; 今村 佳樹 日本大学, 歯学部, 教授 (90176503) ; 石川 敏三 山口大学, 医学部, 教授 (90034991) ; 椎葉 俊司 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (20285472)
• キーワード: 癌性疼痛 / 神経因性疼痛 / 脳脊髄液中glutamate / 神経再生

研究概要

1.癌性および神経因性疼痛のモデルの作成。:1)癌性疼痛のモデルの作成;凍結された癌細胞(Walker256Bcarcinocarcinoma)を溶解し、ヌードラットで生体培養、雄Sprauge-Dawleyラット背部で継代培養を行っている。その細胞を使用して癌性性疼痛ラットモデルを作成した。すなわち、雄Sprauge-Dawleyラットに、ハロタン(2〜3%)/酸素麻酔下に下顎骨にドリルにて小孔を開け,癌細胞(Walker256Bcarcinocarcinoma)の注入を行う。骨膜,皮膚の縫合を行い、骨転移による疼痛モデルとしている。注入後、1、3、7、14、21、28日に疼痛行動を観察し、注入後の21日前後に疼痛行動が観察できた。
2)神経因性疼痛では、ラットをハロタン(2〜3%)/酸素をマスクで吸入させ、下歯槽管内にシリコンを注入し、三叉神経圧迫モデルを作成する。また、大槽よりクモ膜下腔にループ型マイクロダイアリシスプローベを挿入し、先端が三叉神経核レベルに位置するよう留置する。手術後1、3、7、14日までホットボックスによる低域値刺激に対する反応を観察した。
2.癌性および神経因性疼痛後の脳脊髄液中glutamate濃度変化の検討:ハロタン(1%)/酸素吸入下でダイアリシスプローベから人工脳脊髄液を10μl/minで潅流し、各病日に採取する。ラットを任意に以下の群に分ける。薬物投与はモデル作成後より開始(浸透圧ポンプ)し、持続注入する。(1)偽手術群:開創術のみ。(2)非治療群:生理食塩水を持続静注。透析液は分析まで-80℃下で保存し、透析液中のglutamate濃度はOPA誘導体化して、HPLC-ECD法で定量的に測定する。癌性性疼痛ラットおよび神経因性疼痛ラットにおける脳脊髄液中のglutamateは疼痛反応出現時に増加が観察された。

研究成果

• [文献書誌] 坂本英治, 椎葉俊司, 仲西修: "三叉神経ニューロパシーへのパロキセチンの効果"日臨麻会誌. 23. 7-11 (2003)
• [文献書誌] Tohyama K., Matsui T., Nakanishi O., et al.: "Role of the pyruvate dehydrogenase comprlex in the rat brain ischemia."Jpn Pharmacol Ther. 31(2). 149-154 (2003)
• [文献書誌] Mizuno K., Yamada F., Nakanishi O., Ishikawa T., et al.: "Differential response to pial vessels between nitric oxide donor, nitroprusside and trimethaphan in cat."Jpn Pharmacol Ther. 31(2). 155-161 (2003)
• [文献書誌] Sakamoto E., Shiiba S., Imamura Y., Nakanishi O., et al.: "Effect of stellate ganglion block on traumatic trigeminal neuropathy.,25-30,2003."Pain Research. 18. 25-30 (2003)
• [文献書誌] 椎葉俊司, 坂本英治, 仲西修, 他: "頸椎疾患が原因で誘発された顔面(歯)痛の治療経験"日本歯科麻酔学会雑誌. 31(2). 141-144 (2003)
• [文献書誌] 仲西修(古屋英毅, 金子譲, 他 編): "歯科麻酔学<第6版>"医歯薬出版. 638 (2003)