研究課題/領域番号 |
15390622
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
仲西 修 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (50137345)
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研究分担者 |
石川 敏三 山口大学, 医学部, 教授 (90034991)
今村 佳樹 日本大学, 歯学部, 教授 (90176503)
河原 博 九州歯科大学, 歯学部, 助教授 (10186124)
椎葉 俊司 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (20285472)
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キーワード | 神経損傷 / 神経幹細胞移植 / 脳脊髄Glutamate / アポトーシス / c-fos遺伝子 |
研究概要 |
本研究は神経因性および癌性疼痛の病態発現機序について、神経細胞の傷害性をglutamate毒性とc-fosの局所的変化と神経可塑性の面から検討し、痛覚情報の三叉神経節および三叉神経脊髄路核尾側亜核への入力およびその制御様式について検討した。 方法:癌性疼痛ラットは麻酔下に下顎骨膜下に癌細胞(Walker256B carcinocarcinoma)の注入を行い、神経因性疼痛ラットは、下歯槽管内にシリコンを注入し作成した。また、大槽よりクモ膜下腔に先端が三叉神経核レベルに位置するようループ型マイクロダイアリシスプローベを挿入した。 1)行動変化:疼痛行動の観察はホットボックスによる低域値刺激に対する反応をclinchingの回数で評価した。 2)癌性および神経因性疼痛後の脳脊髄液中glutamate濃度変化はダイアリシスプローベから人工脳脊髄液を潅流し、採取した透析液中のglutamate濃度をHPLC-ECD法で定量的に測定した。 3)分子生物学的検討は癌性および神経因性疼痛モデル作成後に,三叉神経脊髄路核を摘出し、凍結切片を作成し、c-fos遺伝子発現をin situ hybridization法にて検討した。 結果:癌性性疼痛および神経因性疼痛雄ラットのいずれも、注入後の疼痛潜時の有意な短縮を認めた。疼痛刺激時の三叉神経脊髄路核部の脳脊髄液中のglutamateの変化は癌性・神経因性疼痛雄ラットで有意な増加が認められた。病理学的検討では癌性および神経因性疼痛ラットのいずれも三叉神経脊髄路核の尾側亜核で初期からc-fos遺伝子発現が認められた。 まとめ:疼痛によるprogrammed cell deathとそれに先行する遺伝子発現、および傷害部位のシナプス再生能の検討がある程度でき、臨床応用に向け問題点や改善可能な点が明らかになり、さらにより可能性の高い治療法の確立へと展開できると確信する。
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