研究課題/領域番号 |
15390629
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科系歯学
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
中島 清人 朝日大学, 歯学部, 助教授 (30102122)
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研究分担者 |
硲 哲崇 朝日大学, 歯学部, 助教授 (90243154)
勝川 秀夫 朝日大学, 歯学部, 助手 (00076051)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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キーワード | 亜鉛欠乏 / ラット / マウス / 味覚異常 / 食塩嗜好性 / 行動応答 / 味覚嫌悪学習 / ホルモン異常 |
研究概要 |
亜鉛欠乏が味覚および各種塩類の摂取・代謝に及ぼす影響について、行動学的・神経科学的・生化学的に調べた結果、以下のことが明らかとなった。 1.行動学的研究 亜鉛欠乏ラットの食塩嗜好性は、48時間法では増大していたが、10分間法では増大が見られなかった。また、48時間法でみた欠乏群の食塩嗜好性は、味覚神経切断群と正常神経群に有意差がみられなかった。一方マウスでは、各種塩類溶液に対する摂取行動を48時間法とリッキング法で調べた。その結果、塩化カルシウムの摂取量は両法ともに欠乏群が対照群よりも低かったが、正常餌に交換1週間後では両群とも同じであった。このことから、亜鉛欠乏ラットの食塩嗜好性亢進は、直接味覚が作用するものではなく食後効果によると考えられた。また、マウスでは亜鉛欠乏が塩化カルシウムに対する摂取行動を変化させると考えられた。 ヒトでは、味質の判別性が障害される「錯味症」が知られている。そこで、亜鉛欠乏ラットで「錯味症」が発症するかどうかについて検討するため、4基本味に対する味覚嫌悪条件づけの般化パターンを調べた。その結果、欠乏・対照群の般化パターンに有意差はみられなかった。このことから、亜鉛欠乏ラットで「錯味症」が起こる可能性は極めて小さいことが示唆された。 2.神経科学的研究 亜鉛欠乏群と対照群の4基本味および各種塩類溶液に対するラットの鼓索神経応答を電気生理学的手法を用いて調べた。その結果、用いたすべての味刺激の濃度-応答曲線は両群で有意差がみられなかった。このことは、末梢の味覚受容に及ぼす亜鉛欠乏の影響が極めて小さいことを示唆し、1の行動学的研究の結果を支持するものとなった。また、味蕾を組織学的に検索したが、両群の間に特に著名な差異を認めなかった。 3.生化学的研究 亜鉛欠乏ラットの食塩嗜好性に液性因子が関与するかどうかを検討するため、血中アルドステロン、アンギオテンシンII、Na、Caの動態を調べた。その結果、亜鉛欠乏ラットでは、血中Naは低下傾向、尿中Naは増加傾向を、またアンギオテンシンIIとCaは有意に低下し、アルドステロンは有意に上昇していた。このことから、亜鉛欠乏がアルドステロンの上昇を伴うNa代謝異常を誘発して食塩嗜好性に導く可能性が示唆された。
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