研究課題/領域番号 |
15390641
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
小林 泰浩 松本歯科大学, 大学院・歯学独立研究科, 助教授 (20264252)
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研究分担者 |
中道 裕子 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 助手 (20350829)
小澤 英浩 松本歯科大学, 大学院・歯学独立研究科, 教授 (60018413)
高橋 直之 松本歯科大学, 大学院・歯学独立研究科, 教授 (90119222)
溝口 利英 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 助手 (90329475)
細矢 明宏 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (70350824)
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キーワード | 機械的刺激 / プロスタグランジンE_2 / RANKL / PGE_2受容体 / RAW264.7 / NF-κB / p38 MAPK / 破骨細胞 |
研究概要 |
咀嚼に伴う顎骨への機械的な刺激は、顎骨の成長における重要な因子の1つとして考えられている。このような機械刺激に反応し、骨細胞は、プロスタグランジンE_2(PGE_2)などのケミカルメディエーターを産生する。産生されたPGE_2は、骨芽細胞に作用し、RANKLの産生を促し、骨吸収を促進することが知られている。また、PGE_2は、破骨細胞前駆細胞に直接作用し、RANKLの破骨細胞の分化作用を増強することが報告されている。本研究では、PGE_2によるRANKL誘導性破骨細胞の分化増強機構を解析した。RT-PCR法を用いて、PGE_2受容体(EP1、EP2、EP3、EP4)mRNAの発現を調べた。骨髄マクロファージおよびRAW264.7細胞は、EP1、EP2、およびEP4 mRNAを発現していた。一方、成熟破骨細胞はEP1 mRNAのみを発現していた。RAW264.7細胞において、PGE_2はRANKLによって誘導されるTRAP陽性の多核破骨細胞形成を著明に増強した。RAW264.7細胞におけるPGE_2の作用は、db-cAMPによって代替することができた。さらに、PKA阻害剤であるH-89によって抑制された。この結果は、PGE_2は、EP2およびEP4受容体を活性化し、cAMP-PKA系を介して作用していることを示唆するものである。次に、PGE_2が、RANKLのシグナルに影響を及ぼすかを検討した。RAW264.7細胞において、PGE_2は、RANKL-誘導性のIκBの分解およびp38 MAPKのリン酸化反応を著明に増強した。以上の結果から、破骨細胞前駆細胞において、PGE_2は、RANKLによるNF-κBとp38 MAPKの活性化を増強することにより、破骨細胞の分化を促進することが明らかとなった。
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