研究概要 |
1.成人性歯周炎患者、早期発症型歯周炎患者および健常者のLPS, LBP, CD14濃度の測定 [材料と方法] (1)被験者:成人性歯周炎、早期発症型歯周炎と診断された患者、それぞれ20名、健常者10名を被験者とした。 (2)リムルス試験による血清中LPSの測定 ベースライン時、初期治療終了時、再評価時、外科処置終了時、メインテナンス時にそれぞれ採血を行い、血清中のLPSレベルを測定した。 (3)血清中のLBP、CD14、hs-CRP、TNF-α、IL-1β、IL-6の濃度の測定 血清中のLBP、CD14のレベルおよびTNF-α、IL-1β、IL-6をELISA法、CRP濃度の測定は検査会社に依頼し、測定した。 [結果] 研究期間中を通じ、血清中のLPSレベルは検出限界以下であった。血清中のLBP, TNF-αは研究機関を通じ変動しなかった。hs-CRP、IL-6は治療後に減少する傾向が認められた。 2.LPSに対する全血の反応性 [材料と方法] (1)被験者:糖尿病をもつ成人性歯周炎6名を被験者とした。 (2)全血からのTNF-α、IL-1β、IL-6の産生量の測定 ベースライン、書誌治療後に採血を行い、全血を低濃度(1-20pg/ml)のLPSで3時間プレインキュベートしたのち、高濃度のLPSで刺激し、12時間後のTNF-α、IL-1β、IL-6の産生量を測定した。 [結果] 低濃度のLPSによるプライミング効果は認められなかった。また、無刺激状態での、IL-1β、IL-6の産生は歯周治療後に減少する傾向が認められた。 3.結論 歯周治療により血液中の炎症性マーカーとspontaneousなサイトカインの産生が減少する傾向が認められたことから、歯周病原性細菌による感染が全身レベルで影響を与えていることが示唆された。
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